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こんなに後味の悪い本は初めて

読みました。【 絶歌 】です。
神戸児童連続殺人事件の犯人、酒鬼薔薇聖斗が書いた手記です。

後書きまで読んだ上での感想ですが、彼がこの本を通じて、何を伝えたかったのかが全く分からなかったです。

どれだけ表面的に平凡な生活を取り戻したとしても、人を殺したという十字架は逃れられないのだと思いました。
途中、何度も淳くんや、彩花ちゃんを殺してしまったことを悔いるシーンが出てきます。それではなぜわざわざ殺したシーンの回想を事細かに書く必要があったのか、生首を抱えて射精をしたことを書く必要があったのか?そしてその手記を遺族に送り付ける必要があったのか?

人を殺してはいけない理由について考えるシーンでは、「自分が苦しむことになるから」という台詞も、元少年Aの本質が見えてきました。あぁ、この人は罪の意識に苛まれているだけで、本当の本当に、淳くんや彩花ちゃんに対しての謝罪の念はないんだろうなと。

疑問に思う部分しかない本でしたが、1つ中でも気になった部分を取り上げさせていただきます。
凶悪犯の境遇って、多くが家庭環境が荒れていたり、知的な障害があったり、お金絡みだったりだと思うのですが、彼の場合は、家庭環境に恵まれ、本を出版できる程度の知能もあるのです。殺人動機にお金は全く絡まない。
本に書かれていない環境要因が彼をそうさせてしまったのか、生まれつきバグを抱えてしまっていた人なのか、本当に謎なのです。(ちなみに元少年Aは三兄弟の長男で、弟二人のことも意味無く殴ったり、弟が作った工作を壊したりしていたと記述があります)

ここまで読んでいた後、味の悪い本は、初めてです。
 淳くん、彩花ちゃんのご冥福をお祈りすると共に、ご遺族の幸せを願います。

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