インバウンド向けの能楽の試み:国立能楽堂ショーケース
お世話になっている方から、能楽初学者も気軽に能・狂言が楽しめるイベントなので是非とご招待いただき、国立能楽堂ショーケースに妻と行ってまいりました。
「国立能楽堂ショーケース」は伝統的な舞台芸術である能と狂言をコンパクトな形で、連続した3日間にわたって上演するものである。平易な解説を組み込むことで能・狂言を初めて鑑賞する方を誘客、また多言語化されたパンフレットや字幕による解説を用意することで訪日外国人の誘客をも図る。
(文化庁の日本博サイト)
会場はほぼ満席で、外国人の方々も多く来られていました。上演前には、能楽師の方が能学や作品の解説をしてくれ、その後狂言と能を休憩を挟んで鑑賞し、2時間というコンパクトな構成でした。狂言は叔母ヶ酒(おばがさけ)、能は小鍛冶(こかじ)でしたが、どちらも内容を事前に解説してくれていたこともあり頭に入りやすかったです。字幕も日・英・中・韓に対応していました。
個人的には、西洋の演劇とは異なる日本の能楽の構成が興味深く(というのもあまりにも西洋の演劇とは考え方が違うような気がするので、一括りに「演劇」ではないということが、文化の多様性の観点から大変面白く)、その辺りをさらにメタ的に解説してくれれば、さらに一層面白く見ることができたのではと思いました。能と狂言それぞれがセットになっていることの意味といった解説は大変面白かったです。
普通は触れることもできないような能装束を実際に着ることができる装束体験や、展示ルームでは能楽初学者向けの展示もちょうどやっており、私のような初学者には大変面白い機会でした。何より、千駄ヶ谷のあの場所にある、建築家の大江宏氏が設計した国立能楽堂の佇まいおよびインテリアが非常に美しく、写真を撮る外国人の方々が多くいらっしゃいました。このような素晴らしい場所ですので、ぜひ色々な形で今後も活用していくべきです。
日本人でさえも能楽を実際にみる機会が減った今、今回のような、初学者やインバウンド向けの、能楽に触れたことがない方々への企画は今後も是非継続しさらにパワーアップさせていってほしいなと思います。大変意義ある試みでした。8月にも企画がされていますので、チケットの予約はお早めに。