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【企業倫理】武士道は成文法ではないから強力な拘束力を持つ
東京証券取引所の職員がインサイダー取引を行う。
大手都市銀行の担当者が顧客の貸金庫から多額の現金を抜き取る。
社会そして顧客から信頼されている企業・組織でも、こうした不祥事を行う時代になってきていることに驚きます。
研修屋としては「コンプライアンス研修・企業倫理研修」のニーズが高まるのかと予想しますが、コンプライアンス・企業倫理というのは、半日や1日の研修を行っただけでは組織に浸透しません。
企業倫理・コンプライアンスを考えるとき、私が本棚から取り出す本が『武士道』(新渡戸部稲造・奈良本辰也訳)です。
武士道とは、武士が守るべきものとして要求され、あるいは教育をうける道徳的徳目の作法である。
それは成文法ではない。せいぜい口伝によるか、著名な武士や家臣の筆になるいくつかの格言によって成り立っている。それは、時には語られず、書かれることもない作法である。それだけに、実際の行動にあたってはますます強力な拘束力をもち、人びとの心に刻みこまれた掟である。
「成文法でないから強い拘束力を持つ」という言葉、とても重いです。
企業の倫理理念も最初は文章ですが、それを配布しただけでは理念は浸透しません。
しかし、それが社員一人ひとりの心の中に刻み込まれた時、その理念が社員の行動規範や意思決定のよりどころとしてとして機能し始めます。
まあ、そこに至る道のりは気の遠くなるほど遠いですが.....。