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ビジネス交流会はもう懲り懲りだ。だから、ちゃんとしたビジネスコミュニティを作りたい。

どうも、こんにちは。田村です。
株式会社アンドゲートというIT推進の会社の代表をやっています。

社長業の仕事の1つに「ビジネス交流会」がありますが、私はこの活動にずっと葛藤や虚しさ、儚さ、そして怒りを感じてきました。
今回、その感情が臨界点を突破し、自身で「ビジネスコミュニティの活動をやってみよう」と思い立ったので、事の顛末を記します。

文章は長め(6800字)なので、一番下のアンケートだけでもご回答いただけますと幸いです!
(アンケートは締め切りました。ご協力いただきありがとうございました!)


今宵も開催されているビジネス交流会

経営や営業以外の方は馴染みがないかも知れませんが、古今東西のビジネス社会において「ビジネス交流会」が夜な夜な開催されています。
「異業種交流会」「経営者交流会」「名刺交換会」と呼ばれたりもします。

4人程度の小規模の会から、20-30人が集まる大規模な会まであり、大抵は6-10人程度で開催されます。
主催はどこかの会社の営業の方や、顔が広い業界人、コミュニティの管理者であり、その裏には「参加者の連絡先が欲しい」「自社の顧客にしたい」という思惑があります。

交流会でどんなことをしているのか?
ほとんどの会は一緒に食事をするだけですが、自己紹介の機会があったり、レクリエーションがあったりと、主催者が工夫を凝らした会もあります。
Facebookでおじさんたちの集合写真がポストされていますよね。あれです。
この会のことをカッコつけて「会食」「食事会」と呼んだりしますが、実際は「おじさんたちの合コン」です。

ビジネス交流会の実情

「おじさんたちの合コン」ですが、ただ飲み食いをしたいワケではありません。
一様に「仕事につながる情報が欲しい」更に言えば「自社の顧客になりそうな会社と出会いたい」一心で交流会に参加します。

参加者全員が「教えて欲しい」「仕事が欲しい」と思っている会を想像してみてください。
そう、与える人がいません。
全員「クレクレ君」、ギブ・アンド・テイクで言えば「テイカー」しかいません。
これは「誰かが悪い」というよりも「構造がおかしい」と考えざるを得ません。

その中でも気が合う人がいて、個別で食事をしたり、ゴルフへ行ったりと親睦を深めることはあります。
しかし、ほとんどは空振りとなり、「ああ、またやってしまった」と後悔しながら帰ることになります。

具体例をいくつかご紹介します。
「この方たちが悪い」ではなく「テイカーな自分が悪い」ですので、予めご了承ください。

「スタートアップ起業家」
新進気鋭のピカピカスタートアップ起業家!
「来週登記するんですよ」とか「シード期です」とか。
眩しい!眩しすぎる!応援したい!応援する!
でも!!!ワシの目的は果たせない!!!

オジを発揮していると「メンターになって欲しい」と言われてしまって
こちらも悪い気はしなくて「やったるわ!」と言ってしまって
今でも月に数回メンタリングしています。はい。

「不動産屋」
IT業界から一番遠い…。
ビジネスで登場する確率は0.02%くらい…。
あ、個人の方?与信使い切っちゃってます…。

「社労士・税理士・会計士・弁護士」
もう顧問がいるので…。
節税?助成金?大事ですよね…ええ…。

「スポーツジムのトレーナー」
もうジムに通っているので…。
福利厚生?弊社リモートワークなので…すみません…。
(せめてBtoBで絞っているか確認すれば良かった…。)

ビジネス交流会の課題

これからビジネスコミュニティを作ろうとしている身ではありますが、折角なので目一杯ディスっておきます。

1回会っておしまい

その場で話すこと・盛り上がることはできますが、問題はその後。
こちらか、あちらが、熱心に次のアポを取りに行かなければ、そこで関係は終了します。
あとはFacebookで流れてくる近況ポストに「いいね」をつけるだけの関係になります。

ターゲット層がいない

弊社のターゲットはエンタープライズ企業なので、まず直接出会うことはありません。
エンタープライズ企業を紹介してくれそうな人を探す」という下心がありますが、上記の通り道のりは遠く、険しく、儚ささえ感じます。

受発注に至らない

参加者は「誘われたから」「なんとなく」で来ているので、明確に解決したい課題を持っていません。
課題を持っていたとしても温度感が低く、受発注に至るまでは相応の時間を要します。

費用が高い

多くの会は「1万円」です。
吉野家LOVERからすると「アタマの大盛りが15杯食べられるな」と思ってしまうものです。

2万円・3万円の会もあります。
高級だと参加者も高級になるかと思いきや、あまり変わりません。
「断れば良い」と思うじゃないですか?
誘われ文句が「今度ウチが運営しているレストランに来てください」なんですよ。日付指定なしの。
「その日は都合が悪くて」が使えません。「行きません!」とは言えないじゃないですか。

国が「会議費」を定めているんです。
「会議費」の中でやりましょうよ。
最近はやっと「1万円以上の会は行けないんです(意味深)」と言えるようになりました。

単純につまらない

自己紹介を1日で10回繰り返したことはありますか?
RPGのチュートリアルを延々と繰り返している感覚です。

深い話しをするには時間が足りません。
しかし、たまに確変に入ってトントン拍子で話しが進んだりします。
ギャンブル依存症になりそうです。

交流会、改め、勉強会

上記のような課題を緩和する策として「勉強会」があります。
交流会はただ人が集まるだけですが、勉強会は何かしらの専門家がプレゼンテーションし、学びの機会が用意されています。
勉強会であれば、交流会で空振ったとしても「今日は学びに来たんだ」と少しは自分を励ますことができます。

嫌なら行かなければ良いじゃないか

なんだ、散々交流会をディスりやがって!嫌なら行くな!
そんな声が聞こえた気がしました。説明します。

人脈営業と組織営業

営業の手法には大きく分けて2種類あります。
人脈を使った営業活動と、組織的な営業活動です。

人脈営業はその名の通り、個人の人脈を駆使して営業を行うことです。
属人性が高い手法ですが、BtoB営業というものは元来そういうものなのかも知れません。
パートナー企業と組んで送客してもらったり、何故か案件をたくさん持っているフィクサーのような人から紹介してもらったりします。

組織営業はコンテンツマーケティングとインサイドセールスによって、リード獲得・ナーチャリング・クロージングを行うことです。
THE MODELのやり方です。
Webページから気になる資料をダウンロードしたら、すぐに電話がかかってきて、アポの設定やヒアリングがはじまりますよね。あれです。
登録したメールアドレスに定期的にメールマガジンが届いて、知らず知らずの内にファンになっていたりもします。

組織営業はサービスに具体性があり、SMB(中小企業)がターゲットだと相性が良い手法です。
反対に言えば、サービスが抽象的であることや、エンタープライズ企業がターゲットだと相性は良くありません。

弊社で言えば「ITの戦略から運用まで行う」という特性上、サービスが抽象的であり、ターゲットもエンタープライズ企業なので、主に人脈営業に頼ることになります。
営業手法に縛りがある以上、サービスを具体的かつターゲットをSMB向けに組み替える必要があり、その戦略を実行していますが成熟するまでにはもう少し時間がかかりそうです。

人脈は枯渇する

人脈営業と組織営業は、どちらかをやれば良いものではありません。
「ウチの会社は組織営業でやってるぜ」と思っていても、見えないところで人脈営業をやっています。
組織営業で再現性高く安定的な案件獲得をしつつ、人脈営業で大きな案件を取りに行く、というハイブリッド戦法をどの会社も行っています。

人脈営業の弱点は「人脈は使うと枯渇する」ことです。
1つの人脈から受注した場合、その後はアップセル・クロスセルの深耕営業を行いますが、顧客の予算は有限です。
顧客の予算が尽きること、それは、自社の仕事が失われることを意味します。
そこから「仕事が欲しい!」と思っても時すでに遅し。

再現性の低い人脈に頼るということは、人脈開拓を継続しておかなければいけない運命にあることを指します。

仲の良い起業家に、交流会についてボヤいたところ
「なんやかんや仕事や採用に繋がることもあるから、ノルマのような気持ちで行くこともあります!!」
と言っていて、頷きすぎて首がモゲそうでした。

交流会に行きたいワケではないんですよ。
でも、潜在的に「人脈は開拓し続けないといけない」というノルマのような気持ち、プレッシャー、責任感、焦燥…そういったものが、交流会へ足を運ばせるのです。


さて、前半戦終了です。ここから後半戦です。


葛藤、虚しさ、儚さ、そして怒り

社長業も8年目に突入し「ビジネス交流会」との距離も、近づいたり離れたりと、葛藤を繰り返してきました。
できれば参加したくない自分・しかし参加しなければいけない現実、参加しても何も得られない虚しさ、繋がったとしてもすぐに途切れてしまう儚さ、そんな状況を受け入れざるを得ないことに対する怒り、矛先が変わって「交流会」への怒り…。

結論、組織規模が大きくなったとしても、人脈開拓の運命からは逃れられません
逃れられない以上、オレが最適な方法を生み出してやる!!!という謎のベクトルに逸れ、「ちゃんとしたビジネスコミュニティを作ろう」という発想に至りました。

でも人が苦手

私は自分のことを「人付き合いが苦手な人」だと思っています。
そのため、後天的にコミュニケーション能力を身に着け、なんとか人並みに生きることができています。

苦手の理由は明白で「相手の時間を頂く以上、相応のバリューを出さなければいけない」というプレッシャーがあるからです。
会食やゴルフに行っている私ですが、自分から誘うことはできていません。
誘っていただいて、その会に参加することが基本的なスタンスです。

「人間に興味がない」という説もありますw
それも否定できません。
「人がどう思ったか」よりも「現実の事象がどうなったか」に興味がある人なのは確かです。
酒を1杯飲めば急にエモくなるので、興味がないわけではないと思うんですけどね。

でも人が好き・得意

苦手と言いつつ、好き・得意な面もあります。
曲がりなりにも組織運営をしていますし、学生時代は学園祭の実行委員、バンド活動、今では息子のこども園の保護者後援会の役員をやっています。

ビジネス文脈でも、1988年生まれの経営者を集めた「88経営者会」や
下町出身の経営者を集めた「下町経営者会」を開催しています。

経営者会で何を話しているのか?

少し脱線します。クローズドな経営者会で何を話しているのか?
アツく討論をすることが好きなので、事業の話し、組織の話し、金融の話し、生き様、仕事論など…そんな話しばかりしています。

少し皆さんに知っていただきたいことは
「社長の心が折れたら、会社はそこでおしまい」ということです。

赤字でも心が折れなければセーフ、黒字でも心が折れたらアウト。
社内外から与えられる無慈悲なプレッシャーに耐え忍び、ビジョンのために目の前のことを淡々とやる。
褒められることもない。褒められたとしても、真に受けることはできない。

だから、せめて、仲間内だけでも励まして心を保とうとしています。
励ますばかりで、励まされたことはないんですけど。

人脈とは何なのか?

人脈というのは、保有している名刺の数でもなければ、Facebookの友達の数でもなく、SNSのフォロワー数でもありません。
常日頃から誰かを助ける活動があり、その結果、困った時に助けてくれる。
これが人脈であり、人間関係だと思っています。

つまり、人脈は一朝一夕で形成できるものではありません。
そんなことはわかり切っているのに、目の前の出会いにうつつを抜かしてしまう弱さがあります。

乱立するコミュニティとマッチングプラットフォーム

世の中にはたくさんのコミュニティが存在します。
ビジネス系であれば EO・BNI・CCなど、IT業界であれば技術コミュニティ、業界ごとや職種ごと、地域ごと、その掛け合わせの数だけコミュニティがあります。

どこかのコミュニティに属したら解決するのではないか?と思いますが
馴染めないんですよね…馴染めれば良いんですけど…どうしてでしょうね?

「コミュニティに所属する」ことだけを目的にすれば、すぐに達成できますが、コミュニティとは本来、人と人が集まり、結果的に生まれるものなので、順番が違うのかも知れません。
はたまた、自身のコミュニケーション能力が乏しいだけかも知れません。

コミュニティの他にも、ビジネスマッチングプラットフォームが乱立しています。
前述の組織営業の一貫であれば効果的ですが、人脈営業として見るとあまり効果はないように思えます。

「ちゃんとしたコミュニティ」とは何か?

「課題」に向き合う

交流会に参加する人の99%は明確な課題を持たないまま参加しています。
「交流会」が悪いのではなく、「交流会に参加する人」が悪いのです(自戒)

課題を持たないまま参加していては、解決策はもちろん見つかりません。
結果、時間だけが過ぎていくことになります。

「交流会で初めて出会う」ではなく、田村が事前にヒアリングして課題を明確にした上で「課題を解決するために出会う」にすれば、課題解決のヒントくらいは持ち帰ることができます。

目の前のことを大切にする

「目の前の仕事ではなく人生のパートナーを」的なスローガンがありますが、私は順番が逆だと考えています。
目の前の仕事を一緒に乗り越えるからこそ、人生のパートナーになる。

運営としても、上記の「課題」が明確であれば「解決策」を調整することができます。
課題と解決策が紐づかなければ、開催しないか、別のタイミングで参加してもらえば良いのです。

交流会が終わった後に、振り返り会を行います。
もし、交流会で良い出会いや気付きがなかった場合、田村が血眼になって出会いを作ります。
確実に1件の出会いか気付きを作ります。

ギブを可視化する

交流会に参加する際はやはりテイカーになりがちです。
悪いことではありません。そういう構造に原因があります。

コミュニティ参加者が無料でできる範囲を示すことができれば、コミュニケーションは活性化します。

例えば、田村であれば、ITプロジェクトの推進に関することはもちろん、企業運営全般の壁打ち、インタビュー動画をTikTokに載せる、インタビュー記事を書いて自社メディアに書く…くらいのことはできます。
既に起業家仲間の営業を手伝ったこともあります。

やりがい搾取は悪ですが、その人にとって軽いことが誰かにとっての重要なことであれば、お試しくらいで手伝うのもアリなのではないかと思っています。
私は、DAO(自立分散型組織)に興味がある人でもあるので、そういった世界観を実現するためにも「ギブの可視化」は起爆剤になると考えています。

おせっかい役がいる

交流会当日にも課題はあります。
私のような照れ屋さんは、自ら話しかけることができません。

「誰かに紹介してもらえたらなー」と思っていつつも、そんな人は現れません。
なので、田村が全員紹介します。
誰もやってくれなければ、自分でやれば良いのです。

マッチングプラットフォームは作らない

コミュニティの検討をしていると「マッチングプラットフォームを作ったほうが良いのではないか?」との考えに至ります。
気が変わるかも知れませんが、現時点ではオープンなプラットフォームはあまり意味がないと考えています。

起業家脳からすると、今更新しいコミュニティを作って差別化を図れるのか?という疑念が生まれます。
しかし、今回の活動は全国・全世界的なコミュニティを作ろうと意気込んでいるものではなく「コミュニティは土着的に生まれる」ということを実証したい想いがあります。

リアル×クローズドの土着的なコミュニティを愚直にやる。

この活動自体を商売にしようなどと考えていません。
手間はかかって、コスト効率は悪いでしょう。
しかし「ちゃんとしたコミュニティ」とはそれくらい慎重にやらなければ実現しません。

強いて言えば「薄い関係性のコミュニティは意味がない」「正しいコミュニティの型はこれだ」が提唱できたら万々歳です。

コミュニティを立ち上げるためにアンケートを実施しています。
より良いコミュニティの形を実現するためにも、アンケートにご協力いただければ幸いです。
(2024/8/25追記)
アンケートの回答を締め切りました。
ご協力いただきありがとうございました!

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