モチベーション・ドリブン_小笹芳央

【書籍情報】
モチベーション・ドリブン
小笹芳央
2019/3/22出版

【全体所感】
vokersは自分の転職時にもお世話になった。
その親会社の経営者が書いた著書で、個人個人のモチベーションの上げ方を
働き方改革などの視点でみる。
「自分株式会社」は常々思っていた事で、内容がスッっと入ってきた。

【ポイント】
・働き改革の主役は現場の人であり、人は「完全合理的な経済人」ではなく、行動経済学的な「限定合理的な感情人」モデルが適用される。「カネ」と「ポスト」だけでは人は動かず、感情報酬が大事となる。


・「金銭報酬」「地位報酬」から、「承認欲求」「貢献欲求」「成長欲求」「親和欲求」などの「感情報酬」で人は満たされていく。(金銭報酬は当然の前提)

・「女性の活躍」は管理職への登用をすすめるたけではない。管理職の女性比率を一律であげることは、男性への逆差別にもなる。各個人が望む働き方を実現させられるように企業側は施策をおこない、従業員のモチベをあげていく。全ては組織としての生産性・結果を出していくためである。

・「One for All, All for One」がキーワード。企業としてはあくまでAllのアウトプットをあげるためにOneを重視するが、Oneへの配慮だけをすすめてAllの効率が下がるのは本末転倒。「One」の暴走は防がないといけない。

・「組織メンバーの数」ではなく、「関係性の本数」で考える。フラット組織は管理しきれない。

・プレミアムフライデーや、ノー残デーなどの画一的な施策はメリットがない。
 個人の仕事配分やアウトプットが阻害されるのであくまで月間労働時間削減などの観点に戻るべき

・完全フリーアドレスは人を探す時間や相談相手が見つからないので、無駄。
 サービスセクションで位置を決め、その中で変更するデザインアドレス(グループアドレス)がベター。

・個人と企業の関係は、縛り、縛らられる「相互拘束関係」から、選び、選ばれる「相互選択関係」に変革していく。

・終身雇用が成立しなくなったのは、商品ライフサイクルが短くなり、商品を生み出せない企業は無くなっていく。一方で「人生100年時代」から長期で働く必要がでてきたことで、企業寿命<人の寿命、となり契約を1つの会社がし続けられるというスキームが成立しなくなった。

・価値の源泉が「業界」→「企業」→「個人」へと変換してきた。
以前は漁業関係ならおおよその年収がわかったが、昨今では企業、今後はより個人単位まで落とし込まれていく。自分企業の「アイ・カンパニー」の経営、価値上昇が大切。

・一人一人が「自分株式会社」(アイ・カンパニー)の社長となり、自律的にキャリアを形成していく。「アイカンパニーの経営者たれ」。価値を上げて、企業から選ばれる存在となる。
アイカンパニーの価値をあげるには「ポータブルスキル」を上げていく。
ポータブルスキルは、語学、pc力などのスキルといったものではなく、次のようなフィールドをこえて通用する力である。
1)対課題力・・・仮説を立てて実行する一連のプロセス
2)対自分力・・・自分自身の行動や考え方をコントロールする
3)対人力・・・コミュニケーションの発信、受信。他人への影響力。

・アイカンパニーとしての「代替不可能性」を追求する。自分しかできないこと。

・働き方改革で、個人の裁量が大きくなる。自由な時間を使って学習できない人は企業から選ばれない。労働時間が削減された事で、指導を受ける時間は減る。自分から積極的に学ぶ姿勢がないと成長することがますます難しい。一度身につけたスキルが「代替不可能性」ではなくなることもある。何度も繰り返し追求していく。難しいが、自分の頭で考え、行動し続けられるアイカンパニーは優良企業だ。

・「会社」「直属上司」「職場状況」の観点から従業員エンゲージメントを高めていく。

・会社のステージにおいてそれぞれの陥りやすい問題を解決する
 1)拡大ステージ:マネジメントが実務に手を取られ部下を管理できない。拡大に気を取られ目の前の仕事を回すのに忙しく、長期的なスパンで戦略を立てられない。
 ◉経営トップ依存、マネジメント不全、組織ルール不足、業務過多疲弊、
  長期視点欠落
 2)多角ステージ:組織が細分化されすぎて役割を見失う。ルールが多く作られ守られなくなる。新規事業へのパワーが強くなり既存事業チームからは不満が出る。
 ◉アイデンティティ喪失、マネジメント画一、組織ルール硬直、既存事業疲弊

  3)再生ステージ:小さな組織を守ろうとする、横のコミュニケーションが弱く、過去の事例から「どうせこうなる」という先入観からモチベが上がらない。  
 ◉セクショナリズム横行、マネジメント閉塞、組織ルール形骸、既決感疲弊、顧客視点欠落


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