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狂言『二人袴』の五 兄弟行ったり来たりでござる
和ろうてござるか〜
狂言『二人袴』の紹介が途中でござった
最初は狂言の聟入りのお話から、名乗りまで
続いて兄が弟をなだめすかして聟入りへ向かわせるところ
三話目ではようやく弟を連れて舅の家へとやってきていざ対面へ、でござる
そして前回四話目では聟が舅と対面するも束の間
兄が来ていることが知られて呼びに行くことになってござる
兄ではないと云うように弟に言い含めたはずでござったが
太郎冠者が知っていたと知り出ずにはおかれぬ、と諦めた兄
弟一人で挨拶させるつもりだったため自身の履く袴を持ってきておらぬによって
兄「その袴を取らしめ(脱ぎなさい)」
このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが、もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”の名を借りて皆さまを狂言の世界へご案内するつもりで描いてござる。なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜
聟「この袴を取りまするか」
兄「なかなか、みどもがその袴を履いて出ずばなるまい」
聟「聟入りと申すものはツッと忙しいモノでござるの」
素早く弟の袴を脱がせ
兄はその袴を履き「挨拶が済んだなら、さっそく戻ってくる」と
舅の元へ
挨拶が済むと舅が聟の居ないことに気づいて
太郎冠者に呼びにやらせようとしますが
兄「イヤわたくしが呼うでまいりまする」
急いで戻って袴をとり、弟に履かせながら
兄「今度問わせられたならば、みどもはもはや、帰ったとおしゃれ」
と云われた弟はそれが方便であるとわかっても
弟「兄さま、必ずどれへも行てくださるるな!」と念押しして舅の元へ
再度対面してもこの度は兄が居ないと云われ
兄は帰ったと応えると太郎冠者に「追っ付いて留めい」と舅
仕方なく再度兄の元へ
この行ったりきたりは聟兄舅と太郎冠者のタイミングが大切でござる
狂言の急がない間でありつつ
テンポを外さずこの後の中盤の山に向けて進むのでござる
こんにったこの辺りにいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗
この狂言noteはけんすけ福のかみが
大蔵流 茂山千五郎家の狂言を中心に学んだことや思うことを描いてござる