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狂言『因幡堂』浮かれる男の行く先は

和ろうてござるか〜

見所で狂言を観てござれば、男が観世音菩薩のお告げと喜んでいる姿は
滑稽に感じられるかもしれませぬ
氣の毒に思う人もあらば、いい気味だと思う人もあるでござろう

この女は通夜をして籠っている男を起こして問い詰めることもできましょう
けれど、いったん高ぶる心を抑え男にひと時の喜びを与えてござる
その本心はどうなのか、思い描きながら続きにまいりましょう

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみがもっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”となって狂言へとご案内するべく描いてござるなにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

いざ自宅へ誘いまする

西門の一のきざはしに立ち
頭からすっぽりと小袖を被った
女性にようよう声を掛けた男

間違いなくご夢想の御妻様だと判ると
大喜びでお迎えの算段でござる
車で行くか馬で行くか?と尋ねるも
首を横に振る

男が手を引いて行こうか?と訊くと
大きく頷く
男は喜んで、女性の後ろに回りこみ
腰に手を当てて「さあさあ、ござれござれ」と案内してござる

実際には腰を押すわけではのうて
背に手を当てて押しているような型
女性は自ら進んでまいりまするが、知らない体でござる

また手を引くといいながら実際には手は引かぬのは
小袖を被いている手は高く挙げてござるによって
引きにくいのではないかと推察してござる
実際に引く台本もござる

浮かれる男、だまっている女

型のごとく舞台を三角に(常座⇒目付⇒脇⇒正中)めぐるうちに
妻が居たが暇の状を送って離縁したこと
観世音菩薩が授けてくれたご夢想のお妻様じゃによって
 千年も万年も仲良う添いましょう、と浮かれた調子でござる

家に着き正中(舞台中央)を挟んで並んで座し
大げさな婚礼は今の時分には相応しゅうないと申し
祝儀ばかりの盃を交わしましょうと盃(葛桶の蓋)と酒入れ(開いた扇)を出してまいりまする 

盃(葛桶の蓋)と酒入れ(開いた扇)

このあいだ女は仕草で応えるばかり、
男は控えめな女だと喜びまするが
もちろん観ている方はそうではないと知ってござる
三々九度の盃がどうなってまいりましょうか

こんにったこの辺りにいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗


この狂言noteはけんすけ福のかみが 大蔵流茂山千五郎家 島田洋海社中にて狂言を学んだことをモトに実際に狂言を(できれば生で)観て和らいでもらいたいと願うて描いてござる🖋

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