四面楚歌
周囲に敵や反対者ばかり多くなって、見方や助けがなくなったことのたとえ。
漢の劉邦が、垓下というところで、楚の項王を包囲したときの話である。
項王の手勢は少なく、また城中の食料もとぼしくなっていた。漢軍や諸侯の連合軍は幾重にもこれを包囲していたのである。夜になって、項王が眠ろうと思っていると漢軍が城外の四方で楚の歌をうたっているのが聞こえてきた。項王は、大いに驚いて
「漢はもうすっかり楚を手中に収めてしまったのだろうか。それにしても味方だと思っていた楚の人々が、漢軍の中にこれほど投降してしまっているとは・・・」と嘆いたという。そして、項王は起きだして陣中のなかに帳をはらせ、そこで最後の酒もりをしたのであった。
この故事は、漢軍が楚に取り囲まれたときの出来事だと思っている人が多いが、原文にあるように、自分の見方が敵の陣営のなかに含まれたときのことを言うのである。
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