雁書(がんしょ)
手紙のことであるが、とくに遠隔の地から来信した貴重な便りのこと
使いとして、匃奴の国に赴いた漢の蘇武は両国が交戦状態になってしまったため、囚われの身になって、幽閉されていた。
匃奴と漢との和睦が成立したとき、天子は、彼の生命を心配して返すように求めた。
ところが、匃奴の王である単宇(ぜんう)は、蘇武は死んでしまったと偽りの連絡をよこした。
ところが、漢の天子は、御苑で狩りをして雁を射おとしたところ、足に文字のかかれた布が結ばれていて、それには
「蘇武らは無事に招沢のなかにいる」と書かれていた。
そこで、この便りのことを匃奴に連絡し、蘇武の帰国を求めたというのである。
囚われの身となった蘇武は、雁の習性を利用したのかもしれないが、これは天子の高等戦術で匃奴を術中におとし入れたと考えられる。
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