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敢えて後れたるに非ず、馬進まざるなり

功績を誇らず、謙遜した言葉である。

魯の国の大夫、孟子側という人物は、武勇に優れた人物であったが、人格も良くできて、謙遜なふるまいが多かった。

ある戦闘で、味方は苦戦を強いられたため退却することになった。殿は、軍隊の列の最後にある部隊のことだが、

攻撃の時の先陣を務めるよりも、退却の時の部隊の責任を果たすことのほうが、大変難しく、犠牲も大きいと言われている。

織田信長が、浅井、朝倉連合軍との戦闘に敗れたとき、秀吉が殿をみごとに果たしたことは有名である。

孟之側は、この地味で難しい仕事を引き受けて、大功をたてたのであるが、自分の戦闘のやり方を自慢するどころか、

いやいや、私が頑張ったというのではなく、後部の速度がゆっくりしていたのは、馬の方が進まなかっただけですよ」と語ったという。


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