個性主義と人格主義
ベンジャミン・フランクリンの自叙伝には、特定の原則と習慣を深く内面化させる努力を続けた一人の人間の姿が描かれている。それは、まさに、「誠意」「謙虚」「誠実」「勇気」など人間の内面にある人格的なことを成功の条件に挙げている。これをすなわち人格主義という。
人格主義に対して、成功は、個性、社会的イメージ、態度・行動、スキル、テクニックなどによって、人間関係を円滑にすることから生まれるという考えを個性主義という。
例えば、親の言うことを聞かない子どもや勉強が嫌いな子どもは、親の目からするとどうしてもネガティブに評価してしまう。これは、自分たちの目に映る子供の姿よりも、世間の目に映る自分たちの姿の方が気になり、良い親と見られたいと思うあまり、子供を見る目が歪んでしまう。
そこには、親の言う通りに子供をコントロールしたいという気持ちがすくなからずあると言える。私たちは、自然と、子供が親の言うことを聞くようになるためのテクニックやスキル、態度・行動等をテレビや本、知人から学び、実践しようとしてしまう。
私たちは、こと、子供の教育だけでなく、職場や町内会などあらゆる場面で、個性主義のテクニックをうまく使い、相手の趣味に興味があるふりをし、魅力を振りまいて良い印象を与えたりすることに意識が向いてしまう。
そうではなく、相手を理解したいという気持ちをもち、我慢強く心を開き続けることこそが必要である。我慢強く相手に心を開き続けるには、高い人格が要求され、精神的な成熟が必要である。、