生徒の責任は学校の責任?

以前、というかよく見られる傾向として、

生徒が万引きやSNS上のトラブルなどを起こしたときに、まず学校に連絡する。そして指導はどうなっているのかと苦情を入れたり被害者がいれば学校に謝罪を求めたりする

これってどうなのでしょうか。

以前、あるYouTuberの人がこんな動画をあげていました。

悩み相談のために公開した自分のLINEアカウントに誹謗中傷のメッセージが届いたことについて、当該生徒の学校側に連絡を入れて謝罪を求めた。これは生徒に制裁を与えることで、生徒だけでなく動画を見ている人全員に向けて、悪いことをしたらそれ相応の罰が返ってくる、SNSを舐めてはいけないことを教えるためだ。

そのように動画内で説明しつつ実際に学校に連絡を入れている様子がありました。

学校側の対応はというと、生徒名は個人情報のため、当該生徒が学校に実際に所属しているのか等の情報を開示しないためにも、そのような苦情があるということだけ受け入れる、とのことでした。

この例のように、生徒が何か問題を起こすと真っ先に連絡がいくのは、生徒の親でなく学校、という点が私にとってはとても疑問に思われるのです。

近年、特に取り上げられる「教師の多忙化」に注目すれば、尚更のことで、家庭で解決するべきものを学校に持ってきてさらに教師の負担を増やすというのはあまり気持ちの良いものではないように感じるのです。

"学校の"生徒だから、生徒の問題を「負担」と考えるのはおかしいと思われるかもしれませんが、どの教師が学校外の、SNS上の問題を全て監視、指導できるのでしょうか。

多様なツールが発明され、より裏で交流がされるようになったこの時代において、生徒のことだからというだけで、学校は生徒の全てを指導する義務が果たしてあるのでしょうか、いや、果たすことができるのでしょうか。

学校で可能な指導は、口頭での注意、家庭への呼びかけ、謹慎等の通学制限程度であり、効力ある指導はほぼ不可能といえるでしょう。謹慎をさせたとしても、そもそもが学校外で起きている問題なのですから、意味があるとは到底言えません。

ここで強く主張できるのは、
生徒のことは何でもかんでも学校に連絡するのではなく、生徒の家庭にコンタクトを取るべきだ、ということです。

家庭は学校よりも生徒と直接的に関連しているだけでなく、意味のある対応をすることができます。

SNS上の問題で言えば、親ならばスマホを没収したり解約したりするなどの制限を加えることができ、これは問題の根本をなくす行為ですから、問題解決により近づくものと言えましょう。(生徒自身の考え方を変えさせたりするなどの根本的解決にはならないという点はここでは無視します)

学校外での非行については、外出禁止や門限の設定など、学校ではできないいろいろな対応をすることができるのです。

初めに述べた例のような人たちは、なぜ生徒の改心や行動の改により結びつくようなことのできる家庭への連絡はせず(後回しにして)、なによりも学校への連絡しようとするのでしょうか。

ここまで書いてきて、考えられる理由の一つとして、社会で起こした問題については、大人と同じように社会的な罰を与えるべき、と考えているのかもしれません。

大人になってから、問題を起こせば、家庭の問題に収まらず、最悪の場合会社をクビになったりするわけですから、それと同じような仕組みで学校を停学、謹慎させられるようにしたいのではないでしょうか。

もう一つ考えられるものとして、家庭の罰では物足りず、より重い罰を与えたいという、被害者の潜在的意識に由来するから、というものですやられたらやり返す、といった意識でしょうか。

たしかに、より重い罰を与えられることはもちろん、家庭よりも学校の方が、罰を与えることを確実なものにしてくれる可能性が高いように感じますから、学校に第一に連絡したくなるのもあるかもしれません。

いずれにしよ、問題を起こした加害者である生徒をより苦しめたいと思わない限り、生徒の非行に限らず、生徒のことならまずは学校に連絡といった社会的な風潮をなくしていくべきではないか、と主張したいわけであります。

これもまた、教師の職務改善に役立つものの一環でありますので、今後こういった考え方が広まると良いものだなと思います。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?