「昆虫食」はやっぱりムリか。未来の食卓はどうなるの?という授業をしました
近年は「タンパク質の危機」という言葉が、環境問題の中で取り上げられるようになってきました。英語で言えば、プロテイン・クライシス。マッチョな人たちがよく口にするプロテインですね。私たちの体は60%が水分で、20%はタンパク質(プロテイン)でできています。筋肉に限らず、骨、血管、脳、髪や皮膚まで。米やパン、うどんやラーメンは炭水化物なので、そんなものばかり食べていると、タンパク質不足になります。
これまでタンパク質は肉や魚で取ってきました、人口もどんどん増えていくし、気候変動も重なって、肉も魚も簡単には食べられなくなる時代が来ようとしています。そこで、注目を集めているのが「昆虫食」です。昆虫はタンパク質が豊富なのです。
私の環境問題の授業の中で、未来の食事を想像し、昆虫を食べられるかどうかをアンケートしてみました。「はい」と答えた人がわずか14%、「いいえ」がほとんどで86%でした。こぎれいなモノしか食べたことのない現代の若者にとって、虫はかなりの抵抗感があるようです。
中には「この世で一番嫌いなバッタを食べることになる未来があるのだとすれば、私は生きていくことができません」と、素直に告白する学生もいました。
でも、見た目だけを言えば、カニとかエビのような、宇宙から来たようなエイリアンのような風貌も平気でおいしいと感じているし、外国の人からすれば、あのナマコのようなぐにゃぐにゃした軟体動物もよく口に入れられるよな、と思っているはずです。タコなんかは「悪魔の魚」として恐れている国もあります。要は、慣れでしかないと思います。
新聞記者時代には、ゴキブリを食す、という記事も書いたことがあります。イギリスのある地方では、ゴキブリを酢で煮てから天日で干し、頭と内臓を取り除いたものをバターなどとともに煮てペースト状にし、パンに塗って食べるとか。タイのある地方では、ゴキブリの卵を集めて、フライにして食べるとか。おえっ。
もちろん、タンパク質を大豆など植物でとることも可能です。でも、これから耕作に適した土地がどんどん減っていき、作物に必要な水資源も限られている中、あと30年後の2050年を過ぎれば、人口は100億人を超えるといわれています。そんな大勢の人を穀物だけでまかなうというのはムリでしょう。動物種の7割は昆虫です。それを食べないわけにはいきません。それが私たちの未来の姿なのです。そんなことを、昆虫食の動画を見せたりして、授業で解説していましたが、半分くらいの学生が下を向いていました。現代っ子の虫嫌いは相当なものです。