【真のサムライへ🌈】高まる円建て外債の需要と揺らぐ国際金融環境:日経新聞解説📰 2023/07/20
日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖
長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!
円建て外債、4年ぶり高水準 4~6月発行8500億円に 米ペイパルやバークシャー、緩和継続の日本で調達
記事に対するコメント📝
本日は、グローバルな金融市場に着目しました
サムライ債についての詳細は
上記の記事からご確認くださいね📝
大規模金融緩和の継続をアナウンスしている
日本銀行ですが、このようなコミットメントは、プラスの効果をもたらすことが
大いに考えられます🎊
すなわち、国内外の投資家からの信頼を
獲得できるからです
この信頼が期待へと昇華しより安全な債権を
購入するなどのリスクテイキングアクションを取ることになるということですね👍
発行増の背景には、日本の安定した金利環境がある、ということですが
これは日本経済の安定性を象徴しているような評価であると思います
円建て債を発行した海外企業は
一般的に調達した円をドルやユーロに換える場合が多いとのことですね
なお、どの通貨で調達するかを選ぶ際は
金利の低さに加え市場の安定性も大きな判断材料となる、ということですから
日本の金融政策に対する安定性は
一定の信頼を獲得できているように思います
ただ、「安定」とは
どういう解釈ができるのでしょうか?
日本の価値が安く定められている
と思われても否定はできません😅
安い日本、円安トレンド、低成長先進国
このような現状を鑑みたら、「安定」の解釈がちょっとゆらいでくるのかもしれませんね🙄
しかし、グローバル経済情勢を整理すると
米地銀の経営不安や規制強化から銀行が融資を絞る動きもあり、景気の不透明感は依然強いですね💦
実際に景気が悪化すれば債券市場も混乱し
起債に踏み切りにくくなる、ことは経済理論と合致している点が多いです
円建て債を呼び込んでいる要因として、日本の景気が安定していることも事実でありますので
ここからグローバル経済において
日本が「真のサムライ」のようなプレゼンスを取り戻すことができるように、経済活性化を促すことが求められているように思います💖
為替レートの短期的均衡モデル🌟
為替レートの決定理論について
これから丁寧に解説していきたいと思います
長期均衡モデルで大切なことは「財・資産両市場の均衡」を考慮することです
しかし、実際の経済は「短期」的な変動によって経済のファンダメンタルズが変化することも多いです
以下では、財(及びサービス)市場における均衡が成立せず、相対的に取引に係るコスト・時間が短い資産市場における均衡のみが達成されるような短期における為替レートの決定理論をご紹介することにします
ここでは、産出量、物価水準、内外金融資産の供給残高は所与と見なされますので、ご留意ください💖
短期と長期とはまた異なる視点を持っていることは、上記で解説いたしましたが
今後は為替レートの決定理論における
長期のモデルではなく、短期のモデルを順番に解説していきたいと思います
登場する記号一覧は、以下の通りです
$$
P_i : the price of No.i good \\
S : Local currency exchange rate \\
{P_i}^* : the price of No.i foreign good \\
( i = 1, …, n )\\
i : interest rate
I : Investment or Profit \\
* : Foreign Variables \\
F : forward rate \\
e : Expectated value\\
s,f : logarithm of S,F
$$
(1)カバー付き金利平価(Covered Interest Rate Parity: CIP)
投資家が為替リスクを嫌うならば
外国建て通貨資産を保有する際に
先物市場での為替の先渡契約を通じて収益額を確定させることができますね
つまり、満期時(t+1 時点)にドル資産の収益額を先渡レート(F)で売却するという契約を結ぶことにより、資産購入時(t 時点)に円建て収益額が与えられることになるのです
この場合の金利裁定式は
以下の通りになりますね
$$
Covered Interest Rate Parity\\
CIP: (1+ i_t) = (1+{i_t}^*) \times(F_{t,t+1}/ S_t )\\
or i_t = {i_t}^* + f_{t,t+1} - s_t …②
$$
なお(ft,st)は自然体数値を表す値になります
要するに、変化率を表しているということですね📝
この関係は、先渡契約により
カバーされた無リスクの裁定条件であるという意味から、「カバー付き金利平価(Covered Interest Rate Parity: CIP)」と呼ばれるのです
なお、上式の右辺の fは
「先渡プレミアム(もしくは現先スプレッド)」と呼ばれ、CIPが成立するためには
内外金利差が先渡プレミアムと等しくならなければならないことがわかりますね
例えば、満期時における先物レートが
直物レートより1%下回っている(自国通貨高)場合、外国金利は国内金利を概ね1%上回っている必要があるということです
CIPは、国際資本取引に対する障壁がない限りにおいて成立します
事実、日米間の3 ヶ月物預金金利差とカバー付きの金利平価を示す資料からは
両国間の現先取引が完全自由化された 79 年 5 月以降、両者がほぼ同一の軌跡を辿っているというデータがあります
少し過去のデータですが🙏🏻
(2)カバーなし金利平価(Uncovered Interest Rate Parity: UIP)
前回の投稿では、カバー付き金利平価について学習しました
$$
Covered Interest Rate Parity\\
CIP: (1+ i_t) = (1+{i_t}^*) \times(F_{t,t+1}/ S_t )\\
or i_t = {i_t}^* + f_{t,t+1} - s_t …②
$$
この式よりわかることは
先渡契約により、カバーされた無リスクの裁定条件であるということでした
しかし、国際資本投資を行う主体の全てが投資に先物カバーを行うものではありません
すなわち、将来の為替レ ートに関する投機的な判断に基づきオープン・ポジションをとり、収益の獲得を図ることも充分想定されます
この場合、満期時(t+1 時点)の為替レートは、t+1 時点の先渡レートではなく
投資家の期待為替レートによって表現されることになるのです
これをカバーなし金利平価(UIP)と呼ぶことにしましょう
$$
Uncovered Interest Rate Parity \\
(1+i_t ) = (1 +{i_t}*)\times({S_{t+1}}^e/S_t)\\
or, i_t ≒ {i_t}^* + {s_{t+1}}^e-s_t・・・③
$$
ただし、小文字の(s)は
自然対数値を取った値と考えてください
要するに、変化率に近似したような値で
表現しているということになります
上式の関係は「カバーなし金利平価 (Uncovered Interest Rate Parity:UIP)」と呼ばれ、上式右辺の第二項と第三項は自国通貨の期待減価率を示しています
$$
Expected Depreciation Rate\\
=[{s_{t+1}}^e-s_t]
$$
UIPが成立する状況
では、いったいUIPはどのような場合に成立するのでしょうか?
一緒に考えていくことにしましょう
ここで、CIPにおける先物レートとUIPにおける期待為替レート の差をリスク・プレミアム(rp)と定義することにします📝
$$
Risk Premium\\
rp≡ f_{t,t+1} - s_{t+1}^e・・・④
$$
上式④のリスク・プレミアムが正の値をとる場合について考察しましょう
すなわち先物レートが期待為替レートよりも切り下がっているケースです
より具体的な数値例を考えると、先物レートが 1 ドル 120 円、期待為替レートが 110 円であったと状況設定しましょう
ここでは、投資家による期待の平均値が 110 円である一方で、リスク回避的な選好を有する投資家は、円が大幅に減価する(例えば 1 ドル 130 円になる)可能性を考慮して、120 円における先物取引を行うかもしれませんね
これはつまり、ドルに比べて円の為替リスクが大きいことを示しています
逆に、上式④のリスク・プレミアムが負の値をとる場合には、ドルの減価に対してプレミアムを支払うことを意味しますね
これは、円に比べてドルのリスクが大きいことを示しています
これまでの議論を整理すると
UIPが成立する場合は、上式のリスク・プレミアムがゼロとなることが必要です(rp=0)
これはつまり、為替リスクの面でドルと円が同一である状態です
すなわち自国通貨建て資産と外国通貨 建て資産が完全代替的であることを示唆しています
資産市場における経験が示す通り
内外通貨建て資産が完全代替であることは想定し難く、UIPは必ずしも成立しないことが多くの実証分析においても示されているのです💦
(3)実質金利とフィッシャー効果✨
通貨で測られた金利(=名目金利 i )に対し、購買力を調整した金利を実質金利(r)と呼びます
※経済学において名目と実質を区別することはとても大切なことなので、この点をしっかりご理解されることをおすすめいたします💖
実質金利の関係式は、以下の式にて示されるのです
$$
Real Interest Rate\\
r_t = i_t -({p_{t+1}^e} - p_t)・・・①\\
\\
Inflation rate\\ ≡π_t ={p_{t+1}^e} - p_t\\
\\
Fisher Equation\\
r_t = i_t - π_t ・・・②
$$
上式①のインプリケーションはt+1 時点にて
it の名目金利を生む資産の実質的な価値が
t 時点から t+1 時点にかけての期待インフレ率で割り引いたものとなることです
ここでの実質金利の水準は、概念上は
資本ストック、時間選好、貯蓄・投資率などといった実物的要因によって決まることとなり、短期的には安定的であると考えられるのです
つまり、短期的には期待インフレ率の増加は、名目金利を同率分高めることとなる(フィッシャー効果)という解釈を得ることになります
$$
Fisher Effect in Short term \\
Δπ = Δ i >0
$$
なお、実質金利の計測を行う際に
問題となるのは「期待インフレ率」をいかに
定義するかが重要になります
市場が 1 年後の物価水準を的確に知ることができるのであれば、期待インフレ 率は事後的な物価上昇率に相当しますが・・・
むしろ実証的な分析を行う場合には、直近(過去 1 年)のインフレ率を用いるのが適当と考えられるのです
最重要応用問題:金利平価と購買力平価の同時成立条件🌟
これまでの議論より、カバーなし金利平価と
相対的購買力平価が同時に成立するケースを
考えてみたいと思います
フィッシャー効果ならびに方程式の関係を
ご理解いただければ、このケースを説明するための条件式が導出されることに感銘を受けると思います
$$
Fisher Equation\\
r_t = i_t - π_t ・・・②\\
$$
$$
Interest Rate Parity \\
(1+i_t) =(1+{i_t}^*)\times ({S_{t}}/S_{t-1})・・・③\\
\\ \\
Relative Purchasing Power Parity \\
(P_{t}/P_{t-1})= ({P^*_{t}}/P_{t-1}^*)\times({S_{t}^e}/S_{t-1})\\
\\ \\
S_{t} (P_{t}^*/P_t)=S_{t-1}(P^*_{t-1}/P_{t-1})=1・・・④
$$
ここで、共通項をくくって
整理していくことにしましょう
まず、③式、④式を為替レート変化率について解きますと以下のようになりますね
$$
({S_{t}}/S_{t-1})=(1+i_t) /(1+{i_t}^*)・・・⑤\\ \\
(S_{t}/S_{t-1}) = (P_{t}/P^*_{t})\times{(P_{t-1}^*/P_{t-1})}・・・⑥
$$
t-1期の値は既にデータとして確定していますから、⑤=⑥式で解いていくと以下を得ます📝
$$
(1+i_t) /(1+{i_t}^*)\\=(P_{t}/P^*_{t})\times{(P_{t-1}^*/P_{t-1})}・・・⑦\\
$$
ここで、インフレ率をπとします
$$
π≡(P_t - P_{t-1})/P_{t-1}\\ π^*≡(P_t^* - P_{t-1}^*)/P_{t-1}^*
$$
すると、次の式変形ができます
$$
(1+i_t) /(1+π_t) = (1+i_t^*)/(1+π_t^*)・・・⑧
$$
⑧式の両辺から対数を取って近似すると
以下のようにまとめることができます
$$
i_t - π_t = i_t^*- π_t^e・・・⑨
$$
この式は、どこかで見たことありませんか??
そうです、フィッシャー方程式の関係そのものなのです
これが、国内外で成立していることになりますから、実質利子率で表記すると以下の結論を得ることになります💖
$$
Important💖 Condition of \\both PPP and Interest Parity \\ \\
r_t = r_t ^*・・・⑩\\ \\
Formula ⑩ implies\\Domestic Real Interest Rate\\
= Foreign Real Interest Rate
$$
⑩式は、私が考察した購買力平価と金利平価が同時に成立するための条件式です
要するに、国内外における実質利子率が等しくなっていることが条件として導かれるのです
為替レート、利子率やインフレ率からフィッシャー効果を通じて、実質利子率という
短期的視点から長期的視点における為替レートの決定理論までの総括ができたと思います🎊
ぜひ今後の学習に繋げていただけますと幸いです💖
本日の解説は、以上とします
最後までご愛読誠にありがとうございました🌟
マガジンのご紹介🔔
こちらのマガジンにて
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています
今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚
最後までご愛読いただき誠に有難うございます!
https://note.com/kens_reading1/n/naa75dd7b17f1
あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏
この投稿をみてくださった方が
ほんの小さな事でも学びがあった!
考え方の引き出しが増えた!
読書から学べることが多い!
などなど、プラスの収穫があったのであれば
大変嬉しく思いますし、投稿作成の冥利に尽きます!!
お気軽にコメント、いいね「スキ」💖
そして、お差し支えなければ
フォロー&シェアをお願いしたいです👍
今後とも何卒よろしくお願いいたします!