新憲法試案(前文、第1章総則、第2章国際平和及び協力)
新日本国憲法試案
(前文)
我々日本国民は、1947年に施行された前憲法が、第二次世界大戦後の日本の民主化と平和、そして発展のために大きな役割を果たしてきたことを踏まえながらも、時代の変化に対して、憲法の解釈と運用だけでは対応しきれなくなっていると認識した。そこで、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という、前憲法の基本原則を維持しつつ、それを現代の必要に合わせて具体的に適用し、さらに発展させることによって、より良い日本の未来を築き上げていくために、ここに前憲法を全面的に改正し、新憲法として制定する。
第1章 総則
第1条 (1)日本国は、民主、人権、平和を基本原則とする。
(2)日本国は、前項の基本原則に基づいて、以下の基本理念を実現する。
1、全国民が主権者として国政の運営に責任を持ち、主体的に政治に参加することによって、国民の自由な意思に基づく真の民主政治を確立すること。
2、国民の基本的人権を保障し、その生活の安定と向上をはかり、経済と文化を発展させることによって、全国民の幸福を最大限に実現すること。
3、国際協力を推進し、諸国民の共存と社会の発展に努めることにより、世界の平和と人類の福祉に積極的に貢献すること。
第2条 (1)日本国の主権は、国民にあり、全ての権力は、国民に由来する。
(2)日本国民は、選挙、投票及びこの憲法に定めるその他の方法によって主権を行使する。
(3)独裁、強権、全体主義、権威主義、軍国主義又は暴力主義的な政治は、どんな形態であっても、これを禁止する。国民は、この憲法に定める方法により、このような政治を排除しなければならない。それでも他に救済手段が全く存在しないときには、国民は、抵抗する権利を有する。
第3条 (1)天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は国民の総意に基づく。
(2)天皇は、国際関係において日本国を代表する。
(3)皇位は、世襲のものであって、法律の定めるところにより継承する。
(4)天皇は、国の象徴としての儀礼的な行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。
(5)天皇の全ての公的行為には、内閣の承認を必要とし、内閣がその責任を負う。天皇の公的行為については、法律で定める。
第4条 (1)日本国の国旗は「日の丸」とする。
(2)日本国の国歌は、国民からの公募に基づき、法律でこれを定める。
(3)国旗及び国歌は、尊重されなければならない。但し、誰もその掲揚又は斉唱を強要されない。
第5条 (1)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、条約、命令及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
(2)日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守しなければならない。
第6条 (1)すべて国民は、この憲法及び法律を遵守しなければならない。
(2)天皇及び総理、閣僚、国会議員、裁判官その他の全ての公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。
第2章 国際平和及び協力
第7条 (1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、紛争解決の手段としての戦争、武力による威嚇、武力の行使その他自衛以外の一切の戦闘行為を、永久に放棄する。
(2)国は、国際平和を維持し、紛争を平和的手段によって、国際法の原則に従って解決するように、最大限の努力をする義務を負う。
第8条 (1)国の平和と安全を守るために、自衛隊を設置する。
(2)自衛隊の最高指揮権は、総理に属する。
(3)自衛隊の統合幕僚長及び陸海空の各幕僚長は、内閣が任免する。
(4)自衛隊は、政治に介入してはならない。自衛官は、政党に所属してはならず、選挙及び投票権行使以外の政治活動をしてはならない。又、その在役中及び退役した後10年間は、総理、閣僚、国会議員、地方自治体の首長又は議会議員及び法律に定めるその他の公務員となることができない。
第9条 自衛官は志願制とし、徴兵制は禁止される。
第10条 防衛費は、国の緊急事態の場合を除き、名目国内総生産の1パーセントを超えてはならない。
第11条 自衛隊は、国内での災害救助活動のために出動することができる。
第12条 (1)自衛隊が、国の防衛又は治安維持のために出動するには、事前又は事後10日以内に国会の承認を必要とする。
(2)自衛隊は、国際平和維持活動、海外での災害救助又は外国にいる日本国民の保護のために、当事国の同意を得た上で、国外に出動することができる。その場合、事前又は事後
10日以内に国会の承認を必要とする。
(3)前2項において自衛隊が出動した後、国会の承認が得られないとき、又は出動の必要がなくなったときは、総理は、直ちに自衛隊の撤収を命じなければならない。
第13条 (1)国の安全に関わる重大な緊急事態が発生したとき、内閣は、全国又は一部地域において緊急事態を宣言し、法律の効力を有する緊急命令を発することができる。
(2)前項の宣言又は緊急命令は、その発令後10日以内に国会の承認を必要とする。承認が得られないときには、その宣言又は緊急命令は、効力を失う。
(3)緊急事態宣言と緊急命令の有効期間は、30日以内とする。延長するときには、国会の承認を必要とする。
第14条 日本国は、自国の安全と防衛のために、外国と同盟して行動することができる。
第15条 日本国は、世界中に存在するあらゆる核兵器、化学兵器、生物兵器その他の無差別大量破壊兵器の全廃を追究し、そのような兵器の製造、実験、搬入、保有又は使用を禁止する。
第16条 日本国及び日本国民は、世界中の全ての人々が、平和と安全のうちに生存し、基本的人権が保障され、経済的、社会的、環境的、健康的及び文化的必要が満たされることによって、持続可能な社会において共に生きることができるように、積極的に貢献する責務を有する。
第17条 日本国の国際協力の基本原則は、次の通りとする。
1、国際平和を維持し、民主化と人権保障を推進すること。
2、飢餓、貧困又は災害に対して人道的な援助をし、地球環境を保全すること。
3、経済と文化の発展、自助努力の支援及び国際交流を推進すること。
第18条 (1)海外における災害救助、難民救済、医療活動、人材育成、技術供与、福祉活動その他の国際協力を推進するために、国際協力機構を設置する。
(2)国際協力機構の組織及び権限は、法律で定める。