不都合な真実とその処方箋 〜自分らしい人生を願う人に向けて〜
1)意味ある人生を送りたい
私たちの多くはそのように願います(と思ってます。)もちろん私もその一人です(^ - ^)
2017年、10年経営してきたファッションECの会社を手放した後、直ちに次に成長しそうな事業に取り掛かる前に私に去来したのは「本当に意味ある、意義ある人生を送りたい。」「では、どうすればいい?」という問いでした。豊かな社会への貢献と言う視点で物質文明に対する限界も感じました。
今日は、そう思う人にとっての「不都合な真実」だけでは困るので「どうしていくのか?」のヒントになることを書ければと思います。
①起業・スタートアップ
起業自体は想いや概念を社会実装するに有効な方法でしょう。しかし、起業そのものに意味があるような風潮があります。実際の経営は、消して甘いものではないので、そうしたどこか、煽るような風潮には少々違和感がありました。(実際にはじめてみると、そんなことないことにいやというほど気づくことになるので、経営者はそうではないでしょうが、始める前の人たちの成功者への憧れから立ち上がる雰囲気がそんな風にみせるのかもしれません。)また、企業経営自体はやってきたことなので、本当に意味のあることが立ち上がるのは、その前段階であり、そこではない場所だと思い、それが、どういうことかもう少し考えたいと思いました。
②既に存在する大企業
いくつか気になるテーマもあり、そうした事業をやっている優れた会社も研究しました。しかし、会社経営においては、スタートアップに限らず仕事の大半は、数字を追いかけ最適化命題への答えを出すことに追われます。むしろ企業経営とは、そうした最適化命題への競争と言えるでしょう。難しいのですが、オペレーションは多くの場合そうなります。それらはその会社の業務を効率化しますし、その意味においては社会の効率化を進めます。しかし、いずれ最適化命題は徐々にロボットやAIに置き換わります。広義に関心のある領域であっても、「意味に取り組みたい」人間にとって、数字と意味は直行する軸であり、他者の作った意味を、数字を追いながら実現をヘルプすると言うアプローチは、私の考える「意味ある人生」と異なるものでした。せめて自分にとって真に「意味ある価値」の数を追わねば、と考えました。
③資本主義の構造的問題(Beyond Capitalism)
ここであることに気づきました。スタートアップも大企業も、今の資本主義社会の文脈で経済成長を追いかけるだけでは創業社長はともかく、社員は「意味のある人生」は送ることが難しいと気づきました。なぜなら、数字の軸と意味の軸は直行するので交わらないはずなのに、どうしても資本主義の文脈では、意味が数字の軸に先に収斂されてしまうからです。
本当に意味ある人生送りたいなら、「自分で見つけた数字に還元されない意味をもたないといけない。」しかも、それは、何かを始めるタイミング(起業や入社)だけでなく、そのプロセスの中で何度も何度も問うことで、はじめて手に入るのです。そう。何度も何度も。
2)「不都合な真実」
こうしたことを考えるうちに、普通の人間が、普通に勤めたり、起業し経済活動をやっているうちは、意味ある人生は手に入らないのでは?という「不都合な真実」に気づきました。
なんということでしょう!生きていく糧が必要で、そのためにほとんどの大人は、真面目に働いているにもかかわらず、そのほとんどの人に「意味のある人生」が手に入らないとしたら、何かがおかしい。何か現状のフレームの内側ではなく外側から変える仕掛けがいる。
少し、視点を変えます。意味はどこから現れるでしょう?当然、意味は主観的領域から現れます。一方で、社会には、そうした意味の探索のための「心理的安全性を保ち主観的領域を探索するための場」がありません。私たち社会人のほとんどの活動は資本主義に収斂され、売上利益という客観的世界の軸で価値を測定され回収されてしまいます。そのため、「意味のある人生」を送るには、普通と違うアプローチが必要だと考えました。
「意味のある人生」を送るには、自分自身を深く知ることが大事です。そうした点では、客観的領域から距離をとることしかないかもしれません。しかし、今度は、内面を深く探索するためのそうした場所が、社会にほとんどないことに気づきました。そうした問題に取り組むとしたら、それは、仕事と言えるものか?僕にも分かリませんでした。
3)流行語となったイノベーション
いくつかの活動がされたものの、なかなか芳しい成果とならないため、大企業のイノベーションに向けた活動が、「オープンイノベーションごっこ」と揶揄され始めました。
そうした自体をなんとか解消するために2018~2019に、内閣府の「価値共創タスクフォース」という委員会があり、委員に任命いただき報告書をまとめました。
ワタシから始めるオープンイノベーション
価値共創タスクフォース報告書 概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/190621/sankou.pdf
そのことを考えている際、社会における「イノベーションの不足」と、個人の中で「意味が立ち上がらない」ことは同じ問題だと気づきました。イノベーションとは「新結合=新しい意味」すなわち数字のスケール以前に、新しい意味を立ち上げることだからです。そうした動きの中、自分の中で「個をひらき 組織をひらき 場をひらく」という、一連の動きがキーワードとなってきました。
つまり、
1)個がひらかなければ主観的領域にある新たな意味は生まれず
2)組織が開かれなければそれが社会に出ることはままならず
3)個や組織がひらかずして、社会が幸福に発展していくことはない
ということです。
こうした考察から、自分の中で「新しい意味」が生まれはじめました。つまり、こうした社会的な痛み(Pain)の解消です。
4)純粋な主観的領域をどう探索するか?
我々が現状を変える方法は、まず、自分自身に深く入っていくための思考の型を身に付けることが必要です。
これは、何かを始める前にやればいいことではなく、始める前は当然、はじめてからも、常に振り返りながら、立ち戻る場所です。また、それ無くして意味の達成はなされないでしょう。こうした時間の経過に耐える意味が、世に残るというのが、この社会の仕組みです。しかし、多くの人間にとって、そうしたことを体系的に身に着ける場所がありません。
そこでまず、無数の機会とご縁、(修)行と呼ばれるもの、神智学と呼ばれる領域、帝王学、など、口伝でしか伝えられなかった領域、もちろん数々の書籍から過去の偉人の叡智などを整理し、一つの型にしまとめました。 それが、「WaLaの哲学」となり、そうしたプログラムを2019年4月から0期含め5期実施してまいりました。
「一部スピリチュアルと言われる領域」「科学でわかっている領域」が混同されて話されます。一方でそれを「ビジネスの世界でも必要なこと」にどう結びつけるのか。ここも急ぎすぎる傾向にあります。
「WaLaの哲学」の講座の中で学ぶ内容は、控えめに言って膨大なのですが、一点だけ取り上げるなら、自我(エゴ)と自己(セルフ)があることを理解しその間にいるのが人間であることを理解すること、および自己(セルフ)と一体化することで大きな力を引き出せることを知ることです。
こうした領域に対する一気通貫した視点を個人が持つこと、および社会の構造的欠陥を解消すること、ここからしかより良い世界にならないのではないかということが徐々に私自身の信念となってきました。
5)Born Again Club(BAC)
先に述べたように、自身の信念を社会の風雪に耐えつつ、維持発展させていくため、実践的かつ継続的に主観的領域を鍛錬する場が必要と考えました。一方でそのような対話は、一定以上のコンテキスト・背景知識を共有した者同士でなければ、「心理的安全性」も「場の質」も担保がなされません。そこで、「WaLaの哲学」修了者だけを対象にするというとても贅沢な場「Born Again Club(BAC)」を設けました。現代的実践哲学の場です。ここでは、時々参加者が自身の、世界観(Where)と自分とは何者か(Who)から立ち上がるエネルギーとともに、 Why、What、Howを発表すると同時に、例えば、今年は以下のようなテーマを議論をしております。
・イズム「べき論」を超える
・コロナ後の社会について
・パートナーシップについて
・ 組織における人間関係の理想状態
・ポストキャピタリズム
・SDGsとの関わり方
・変性意識と瞑想
Contemporary Practical Philosophyと言った場合、様々な切り口があるでしょうが、メンバーとは、壮大な実験であるという前提で様々な取り組みができればと思っています。コロナ禍だけでなく、米中対立が紛争になるのかが問われている現在、自分の頭で世界を洞察していく力は極めて重要です。
こうした「現実的だが議論するには重たい問題」に、心をひらき、真に問題意識をもち、かつ一定の世界観を共有できる人間らと徹底的に話し合う場と言うのはおそらくあまりないようにおもいます。こうした経験が、主観的領域に眠るセルフの力(フォース)を、自身を通じ社会に出現させ、ビジョンを実現する力を鍛えるでしょう。
私が確実に言えることは、皆さんが、心から望むことにチャレンジをすると社会全体がより良い方向に変化する確率が増えるということです。それは素晴らしいことだと信じています。一方で、挑戦する一人ひとりが、必ず短期的な成功を手にするというわけではありません。私たちは、同じ失敗を何度も繰り返せと言われてもできません。私たち人類は、ミラーニューロン、社会記憶、言語など、様々な現象の組み合わせから、全体としては時空間の中で、進展し続ける運命にあります。
自身が成功するか否かはやってみて、時代に乗せて行かないとわからないが、自分の深い部分から立ち上がるWILL(Universal Intention)による挑戦は必ず人類の知恵になっていく。そうした自我(エゴ)ではく自己(セルフ)で生きる視点を持つことで深い自己を知り、結果的により大きな潜在的力(Background Potential Force)の後押しを常に受ける。
そうした「考え方の軸を持つ」とともに、「自分の深いエネルギーを利害関係を超えて感じあえる仲間を持つ」こと、「現状の枠を超える力を手にする」、そうした体系が「WaLaの哲学」の根源的価値としてまとまってきました。これから、こうした学び、志を共有した仲間と共に、チャレンジしていく時代がやってきました。なかなかエキサイティングな時代ですね。こうした「理念でつながった仲間」が、江戸時代の終わりに藩が解体され新しい社会ができたように、会社と言う枠組みを代替していくかもしれません。皆さんはどう考えますか?どうやってこの不都合な真実を乗り越えていきますか?これが、現在の私の考えです。
6)Project Lily
現在、経済産業省「大企業人材等新規事業創造支援事業」として、Project Lilyと言う委員会を進めています。正式名称は「Leader tells a story, no more lie to yourself」と言うタイトルなのですが、要は、本当に「個をひらき 組織をひらき 場をひらく」には、これまでの企業の枠組み、論理を超えた実践の場が必要だろうと言うことで、そうした想いを持つ企業幹部に各社から(人事、経営、新規事業担当)集まってもらい、その実践の場の雛形作ると言うものです。まさに、そうした場をいかに作るかを今週も議論します。こうした「兆し」から雛形ができ、それが広がる中で、フレームそのものが変革されていくことを企図しています。
私は、「社会の痛み」「自身の痛み」が重なる点を見つけその解消に動く中、同じ痛みを感じる人たちと出会い、共鳴し合い、その人たちとの共創を通じ社会に働きかけることで、その両方を解消していくプロセスを歩んでいます。これは、一つの型かなとおもいます。
皆さんは、この「不都合な真実」をどう乗り越えていきますか?そのための環境設計をどのようにされますか?きっと包括的アプローチの必要性、連携の必要性を感じられるかと思います。いずれかに共感いただいたり、お問い合わせございましたらぜひご連絡いただければとおもいます。
info@wala.jp
sakka@fieldandstory.com
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上記背景から生まれた「WaLaの哲学」を体感いただくために、「ワークショップ」「説明会」を用意しました。よろしければ、ぜひご参加いただければありがたく存じます。
□はたらく意味のアカデミア「WaLaの哲学5期」オンライン無料説明会
以下の日程で開催します!
・8/20(木)19:30~21:30
・9/1(火)19:30~21:30
申し込みはこちらのサイトから
□WaLaの哲学のエッセンスを体験するワークショップ
こちらのワークショップは、8/25、9/9に実施します。
暑い日が続きますね。良い夏をお過ごしください。
Good Summer days!