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1000文字ぐらいで映画レビュー「劇映画 孤独のグルメ」

今や老若男女に愛されるテレ東の看板コンテンツ、孤独のグルメ。最近は大晦日の特別版も恒例となった。

公開週の週末、昼過ぎに劇場に向かうと狭めのスクリーンはほぼ満席で、心なしかポップコーンを食べている人が多い気がした。私は上映時間に遅れそうで昼食をとらずに席に着いた。

初の劇場版となる今作では、仕事でパリに向かった井之頭五郎が、顧客の老人に頼まれ「いっちゃん汁」なるスープの再現に奔走する。腹ペコになりながら都合3か国を渡り歩き、スープを完成させる。

孤独のグルメ最大の”アンチ”こと松重豊氏本人が初めて監督をされたそうだ。途中で五郎が死にそうになるやや怖い場面が出てきたり、”善福寺六郎”なる人物が出演する自虐的なメタ劇中劇が差し込まれたりと、ドラマ版とはテイストの違うアンチのスパイスが光る。

それでいてストーリーや画は整っていて、ドラマ版の積み重ねがあるとはいえ初監督と思えないほどすんなりと見ることができた。脚本づくりや配役、店選びなど映画作りの裏側がもっと気になるような出来だった。

劇中の料理では個人的にはビーフ・ブルギニョンが1番おいしそうだった。きっと丁寧な仕事をするレストランなのだろう。牛肉の脇の切り揃えられた形の野菜が、ソースの深みに説得力を持たせる。バゲットに牛肉の塊をのせて食べるシーンを見たときは、映画を見ながら口で迎えに行ってしまっていたと思う。

次点は長崎のちゃんぽん。豚骨や鳥のうまみ、海産物の出汁、野菜の甘味が混然一体となったスープに浸る温かい麵。それを野菜や蒲鉾と共に箸で口に運ぶ。見ているだけでスープの旨味や野菜の食感が口に広がるようなシーンだった。

我々が孤独のグルメに求めるのは、旨そうな飯と旨そうに食べる井之頭五郎だ。エンドロール後の「腹、減ったでしょ?」というセリフがそれを象徴している。空腹は最高の調味料というが、観客はいつも腹ペコで食事にありつく五郎に共感する。

ちなみに私は鑑賞後、ビーフ・ブルギニョンを思い出しながらバーガーキングでパティ2枚のワッパーにかぶりついた。

監督・主演:松重豊 2025年製作 
2025年1月鑑賞
#映画感想文 #映画 #ネタバレ #孤独のグルメ 


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