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中学受験という戦いの本質
1月31日。
首都圏における中学受験対策の最終日を迎え、今年も無事に全ての教え子を明日からの戦いに送り出すことができました。
例年同様、一部の生徒はまだ受験対策のための授業が残っており、各ご家庭からの受験合否に関する対応も含めて、全てが終わるのは一週間後となります。
昨年、一昨年と1月31日には記事を投稿しておりますが、私からお伝えしたいことには変わらない部分も多々ありますので、以下の記事もご参考にしていただけますと幸いです。
今年も少しだけ中学受験に対する私の考えを述べておこうと思います。
中学受験という戦いは何かを失う戦いではありません。
国と国が戦い領土を失うとか、それこそ命を失うような戦いすら遠い世界の話ではありませんが、中学受験というのは本質的には何かを手に入れるイベントです。
受験においてはここまで様々なものを犠牲にして準備を行い、それで結果が得られなかったときに喪失感につながってしまう場合も多いかと思いますが、実際には何かを失っているわけではないのです。
欲しかったものが手に入らなかっただけです。
満足のいく結果が得られたとしてもそうでなかったとしても、それまでの受験の道のりで得られた経験値は変わりません。
最後に手に入ったものの種類が異なるだけです。
欲しかったものが手に入らなかった人にも、必ず別の何かが手に入ります。
別の未来が手に入ります。
後になってみるとむしろそっちの未来で良かったと思えるようになる子もたくさんいるはずですし、過去の私の教え子にもそのような子が数多く存在します。
親御さんも受験に限らずそのような経験はしてきているでしょうし、私自身はまさに中学受験でそのような経験をしました。
第一志望以外なら地元の公立に行くと決めていた私は、完全なる努力不足で公立中に進むこととなるのですが、公立中での三年間で得たものが本当に大きな財産となりました。
また公立中学に進むと高校受験をすることになるわけですが、高校受験に対して直接的に役立ったのが中学受験の経験でした。
合格や不合格とは関係なく、中学受験を通して手に入れた様々な経験や気づきが人間的な成長にも影響したはずです。
「無駄な経験など無い」
よく耳にする言葉ではありますが、私自身それを実感しながら生きてきたような気がします。
また経験が無駄になるかどうかは、個人の受け止め方によるところも大きいでしょう。
単なるポジティブシンキングのレベルではなく、ネガティブな成果を未来のポジティブな成果につなげていこうとする意識は誰にとっても重要なことだと思います。
受験での経験、結果が自分の人生にどのように作用していくかは予想のつきにくいことですが、どんな経験もどんな結果も向き合い方次第でさらなる良い未来につながっていきます。
受験生達がそのことを心に刻み、悪い結果を恐れずに自らの全ての力をぶつけてくれるよう願っています。
それでもやはり悪い結果を恐れるがあまり全力が出せない子もいるはずですが、その経験すら良い経験になります。
痛みを伴いますが、それと引き換えに何らかの教訓や、自分なりの哲学をつかむこととなるでしょう。
一週間後には悔しい思いを抱くこととなる受験生も必ず生まれます。その悔しさが先に進むための原動力となるよう、周囲の人間がうまくサポートしてあげてほしいところです。
自力で立ち上がれそうな子には過剰にサポートせず、温かく見守るだけで良いと思います。
受験という「非日常」とも言える日々が終われば久しぶりに「日常」がやってきます。
そんな日常が疲れ果てた受験生の心を癒し、また次のステージへと進む活力を生み出す原動力となり、自分から立ち上がれる日が必ずやってきます。
そのタイミングには個人差もあるでしょうが、「受験生」という立場からの本当の卒業はそのタイミングなのかもしれませんね。
私自身、その日が来るまで教え子達をサポートすることとなるでしょう。
この記事をお読みになっている保護者の方々も、「その日が来るまでが中学受験」と思って、お子さんが立ち上がる様子を中学受験の締めくくりとして目に焼き付けていただければと思います。
お子さんもここから中学受験最後の戦いに挑むこととなります。
保護者の方々も最後の見守りには神経が磨り減ることと思いますが、受験生の心身のサポートが保護者としての最後の務めです。
サポートする側にも心身の活力が必要ですから、ご自身の体調にも十分ご留意いただきつつ、受験の本当の締めくくりの日が来るのを待ちましょう。
受験の締めくくりはもう少しだけ先だとしても、受験生も保護者の方々もここまで本当にお疲れさまでした。
もうひと踏ん張りです。