抱えるトラウマも知らない
トラウマと自分との関係について、たまに考える。
この間、長らく通っている精神科に行って、「そういえば、私の病気って何ですか?」と聞いてみたら、「うつとトラウマですよ」と言われた。
「まあ、そうですよね」と言って帰ってきたけど、やや奇妙なことがある。
私は、自分のトラウマが何かを知らない。
実家に暮らしていた頃、と言っても2年ほど前のことだが、母親に「実は隠してたけど、あなたはトラウマを抱えているんだよ」と言われて、大変に驚いた。身に覚えが全くないから。
「でも、親の口から教えることで、お前の症状が悪化したら大変だから、内容は教えない」とのこと。かなり気持ち悪い。
詳しく聞くと、どうやら、高熱を出した時に、トラウマの記憶と関連するような幻覚を見たり、うなされたりしているらしい。推測するに、多分父親からの暴力だと思う。
でも、全く思い出すことができない。人間は、あまりにも恐ろしい記憶に蓋をする。それなのに、トラウマだから、「本当のところ」は忘れていない、らしい。
私はまだ、悪夢を見続け、幻聴を聴き続け、たまに幻覚を見る。その中に、きっとトラウマ的記憶も紛れているんだろう。でも、具体的な記憶として、私はそれを保持し得ない状態にある。
たまに、恐ろしくて眠れない。
眠ったら、思い出してしまうんじゃないか?と思いながら、眠たい目をこすりながら朝を待っている。明るくなれば、少しはトラウマも遠ざかりそうだから。
私内部の最も近いところにある記憶が、きちんと思い出せない。私が私の顔を実際に見たことがないように。周りの人は、それを見ている。知っている。
私がその記憶を取り戻したとき、どうなってしまうんだろうか。
根源的に私をいたぶっているかもしれない記憶が、具体的な形を伴った記憶として立ち現れたら、本当に狂ってしまうかもしれない。
でも、トラウマ治療は思い出すところから始めなければいけないっぽい気もする。人生、気と荷が重すぎる。
ところで、トラウマは悪夢なんかに出てきそうなんだが、やはり、自死というトピックは夢にも登場する。(家族を二人失っているから。)あまりにも悪夢を見るから、精神安定剤を飲んでから寝るようにしているけど、それでも、みる。
今日、すごく怖かったのが、指先を紐でくくって、まるで首をかけるようにすれば、死ねるという夢。夢のなかで私は、その死に方を知って「そんな簡単な方法だったら!やってしまうよー!」と困惑しながら、やろうとしていた。
同じようなことが現実にあったことがある。
キッチンに包丁を転がしたままにしていたとき、精神のバランスを壊してしまって、フラフラする頭で無造作に転がっている包丁を見て、思わず「そんなところにあったら、危ないよ!死んでしまうよ」とか言いながら、流しに投げ捨てた記憶がある。
常に死に追われた精神だ。今日の文章は、明らかに調子が悪い。