アトピー性皮膚炎と漢方について

漢方薬剤師のよもやま話

薬剤師の長澤です。今回はアトピー性皮膚炎と漢方治療について触れていきたいと思います。

（１）急性段階

Ａ．ジュクジュクタイプ（湿熱シツネツ）
顔面や頭皮の湿った病変、肘や膝関節部の丘疹（ぶつぶつ）が出来る、胃もたれしやすい 吐き気・嘔吐・軟便下痢を伴う
場合があるなどの特徴があります。
推奨漢方：菌蔯蒿湯（いんちんこうとう）

Ｂ．赤みが強いタイプ（血熱風熱ケツネツフウネツ）
Ａに比べ、皮膚の発赤が著しい場合です。口渇や不眠を合併することもあります。
推奨漢方：消風散（しょうふうさん）

Ｃ．重症タイプ（熱毒ネツドク）
紅斑（赤いボツボツ）が急に発症したり、水疱などの皮膚症状が出て、全身のほてり、口渇などの症状があり、舌は
暗紅色（黒っぽい赤色）。頻脈（脈が速い）になることもあります。
推奨漢方：黄連解毒湯（おうれんげどくとう）

Ｄ．ゴワゴワタイプ（於血オケツ）
顔色がどす黒い、皮膚につやがない、青あざができやすい。
推奨漢方：血府逐於湯（けっぷちくおとう）

（２）慢性段階

Ａ．カサカサタイプ（血虚風燥ケッキョフウソウ）
患部はカサカサ、フケのように皮がむける、皮膚がたるむ、亀裂、頭皮のフケ
推奨漢方：当帰飲子（とうきいんし）

Ｂ．ほてりタイプ（陰虚内熱インキョナイネツ）
患部はカサカサ、ほてり、のぼせを伴う乾燥、紅斑、口内炎
推奨漢方：瀉火補腎丸（しゃかほじんがん）

Ｃ．ストレスタイプ （肝欝気滞カンウツキタイ）
イライラ、怒りっぽい、胸焼け、肌色のできもの、シミ
推奨漢方：加味逍遥丸（かみしょうようさん）

Ｄ．胃腸の弱りタイプ（脾虚湿盛ヒキョシツセイ）
患部はジュクジュク、赤みの薄い水疱、食欲不振、下痢気味
推奨漢方：参苓白朮散（じんれいびゃくじゅつさん）

Ｅ．冷えタイプ（脾腎陽虚ヒジンヨウキョ）
患部はジュクジュク、紅斑、丘疹（ブツブツ）、鱗屑（皮膚がカサカサになりフケのような物が剥がれ落ちる）、食欲不振、
下痢、冷え
推奨漢方：金匱腎気丸（きんきじんきがん）

以上、今回の内容でした。

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─[執筆者]───────────────────────────
■長澤 昭（ながさわ あきら）１９５２年 静岡県生まれ。
１９８０年に薬局を創業。漢方の健康堂薬局にて痛み・
シビレの症状を中心に漢方の研究を重ねて40余年。
ＨＰ　https://www.kenkodo-igaku.jp/
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