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なぜ炭焼きをやりたいのか?~移設プロジェクト進行中~

現在、たくさんの方々にご協力をいただきながら、炭焼きがまの移設という大きなプロジェクトを進めています。

この記事では、移設をすることになったきっかけや、私が炭焼きをやりたい理由について書きました。

炭焼きとは?

炭焼きは、木材を空気の少ない状態で加熱して「炭素と炭素以外(水など)の物質に分ける作業」のことで、炭化とも呼ばれます。

その炭素だけ残ったものが炭です。

この炭化が始まった状態を炭焼きでは「火が付いた」と呼びます。
その後、かまにフタをすることで炭化をより進めていきます。

説明を簡単にするために、厳密なことは省いています。
炭焼きとは簡単に言うと何か?また、かまにフタをした後の工程が重要だということだけ覚えていただければと思います。

清太郎さんの炭焼き小屋

清太郎さんの炭焼き小屋

佐藤清太郎さんの家の敷地内に炭焼き小屋があります。
小屋は20年程前に、中にある炭焼きがまは2代目で10年程前に作られました。

小屋は傷んできて雨漏りがあったり、かまも亀裂が入っていたりして、いつ崩れてもおかしくない状態です。
そんなことから清太郎さんは炭焼きを辞めようと思っていて、小屋も一部解体していました。

そんな時、私が興味本位で一回やってみたいと清太郎さんにお願いして、炭焼きを最初から最後までやってみることに。
それが2023年の3月でした。

炭焼きってすごいかも?

せっかくやるならと色々な方に声を掛けてみました。
そうすると人づてにどんどん広がり、最終的に延べ20名以上は来てくださったと思います。
大々的に告知をしたわけでも、何か企画を準備していたわけでもありません。
言ってしまえば「ただ炭を焼いていただけ」です。

それでも皆さんが思い思いに楽しい時間を過ごしていたように感じました。

そこで私は「こんなにたくさんの人が楽しそうに過ごしている。炭焼きってすごいかも?」と思い、興味がわいてきました。

炭焼きがまを森に

私は炭焼きをもう少しやってみたいと清太郎さんに話しました。

すると、この小屋と炭焼きがまは、もう限界だから作り直さなければならない、そして、清太郎さんの手が離れても出来るように健康の森の入り口に作り直そう、ということになりました。

そうして炭焼きがまの移設プロジェクトが始ったのです

炭焼きの本番とは?

私が炭焼きをやりたい理由を話す前に「炭焼きの本番」とはいつなのかを説明します。

清太郎さんも言っているのですが、炭焼きの本番は、かまにフタをする時(炭化した時)からです。
フタをすると言っても完全にふさがれるわけではありません。
すき間が出来るので、そこに泥を付けて埋めていきます。
そのふさぎ具合がカギを握ります。

その後は煙の色やにおいなどから、かまの中の状態を想像して、フタのすき間や排煙口の開き具合を調整していきます。
その調整を間違えると、燃え尽きて木が無くなってしまったり、逆に火が消えてしまったりするそうです。
そしてそれが一番難しくて、一番おもしろいのです。

その時間を一人で過ごす時がありました。
そして、私は炭焼きの虜になっていきます。

虜になった夜

2024年の3月、一人で夜に作業するという経験をしました。
あの時間を今でも忘れられません。
時間は夜の10時頃。炭焼き小屋に1人、外はもちろん真っ暗です。
その中で火と煙に向き合っていました。

ここからは、その時に思っていたことです。

炭焼きがまのフタをして、いよいよこれからが本番。
いつもなら清太郎さんも一緒にいるが、今日は来る気配がない。一人でやってみろということだろう。

フタをして、すき間を埋める段階まで来た。ただ、単純に埋めればよいわけではなく、火と煙の状態からふさぎ具合を判断しなければならない。
その状況は排煙口の開き具合でも変わってくる。

夜の小屋で一人、自問自答を続ける。
今はフタのすき間を狭めた方がいいか?そのままでいいか?
排煙口は開いた方がいいか?閉じた方がいいか?そのままでいいか?
煙のにおいが変わったか?変わってないか?
色は変わったか?変わってないか?

フタのすきまから手前の火を見る。火が弱まっている気がした。
排煙口を少し広げてみると手前の火が少し大きくなった。入ってくる空気の量が変わったからかもしれない。

煙のにおいが変わってきた。
中の木に火がついた(炭化した)状態になると、煙のにおいが強くなって、いずれ目が開けていられないほどになる。
でも火がつくのは、かまの奥の方から。フタの隙間からは見えない。
フタの隙間を閉じなければ空気が入りすぎて火が大きくなり木が燃え尽きてしまう。
でも中の木に火がついてないのにすき間を閉じると火が消えてしまう。

どうしよう?煙のにおいは強いままだから閉じても大丈夫か?わからない。

時間は深夜0時を回った。
意を決して火がついたと判断。フタのすきまを閉じて仮眠を取る。


2時間くらい寝てから様子を見に来る。
煙が出ていた。
よかった、火は消えていなかった。ちゃんと火がついてくれた。
ほっとしてもう一度眠りについた。

朝6時くらいに起きて、かまの様子を見に行って中をのぞくと、かなり手前の方まで火が回っていて、かまの中全体が赤く輝いていた。

清太郎さんも起きた来た。うまくいったと言ってくれた。

この経験は強烈に脳裏に焼き付いていて、今でも頭から離れません。
もう一度、あの時間を過ごしたい。
もっともっと炭焼きをやりたいと心の底から思いました。

これからどこに向かう?

移設を完了させて、森の入り口で炭焼きを始めた先に何が待っているのか?今は全くわかりません。

ただ間違いないことは、次は「どうやって炭焼きの技術と文化を継承するか?」に向かっていくということです。

さらにその先はどこに向かうか?それは、ぼんやりとですが頭の中にあります。が、うまく言葉にできません。
少しずつnoteに書いていこうと思います。

今年の秋には移設先で1回目の炭焼きを行う予定です。
お楽しみに!

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