大投資家2人に共通する長寿の要因は?私たちが今すべきこととは
お金の学校「グローバル・ファイナンシャル・スクール」校長・市川雄一郎氏が、お金についてやさしくアドバイスする本連載、 3回目となる今回は投資と長寿の意外な関連性についてのお話です。
▶第1回「お金の専門家が警告!老後資金は2,000万円では足りない‼」
▶第2回「あなたの資産寿命は何年?投資がそのカギを握る理由とは?」
未来志向とリスク管理意識を持つことが大事
ご存知の方も多いと思いますが、日本は平均寿命84.3歳を誇る世界ナンバーワンの長寿大国です。海外諸国から見れば、日本は治安も良く美しい国であり、国民の多くがノンストレスで生きているからこそ、長寿大国として結果を残すことができているのではないか?なんて声も聞こえてきますが、そもそも長寿の秘訣は非常に曖昧。実のところはどんな腕利きの医師でもわからないでしょう。
心身ともに健康であってこそ長寿につながるのは確かですが、注目すべきは『投資行動が長寿に影響を与える可能性がある』という点です。近年の研究やデータ分析によれば、長寿には、投資を通じて身につく「未来志向」と「リスク管理意識」が関係していると言われているのです。著名な投資家を例に挙げてみましょう。
94歳、伝説の投資家の場合はどうか?
まず最初にご紹介するのは、ウォーレン・バフェット氏です。言わずと知れたアメリカの投資家であり、バークシャー・ハサウェイのCEOを務める実業家としての顔も持っています。「オマハの賢人」とも呼ばれ、長期的な価値投資の手法で巨万の富を築いた人物として世界中の投資家から伝説の投資家として知られている人物です。
そんなバフェット氏は現在90歳を超えていますが、未だ現役の投資家として活躍しています。さぞ健康に気を遣っているのだろうと思われる方が多いと思いますが、実を言うとあまり健康的とは言えない食生活を送っているそうです。
例えば、バフェット氏は無類のジャンクフード愛好家であり、500mlのペットボトル入りコーラを1日5本飲み、ハンバーガーやポテトフライも毎日食しているのだそう。まるで6歳児の食事だと、本人が公表しているくらいですから、食事に気を遣っている訳ではないのでしょう。
ただしバフェット氏は、90歳を超えた現在でも日々読書をして学び続けており、若い頃と変わらない旺盛な好奇心を保ち続けていると言われています。このような知的活動は、認知機能の維持に役立っている可能性が高いと言えます。
さらに長年のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガー氏を始めとする信頼できる仲間や家族と過ごす時間を大切にしており、ポジティブな人間関係がメンタルヘルスの維持に寄与しているとも考えられるのです。
好きなものを食べ、好きなことをし、さらに好きな人達とのコミュニケーションを欠かさないことで、精神的刺激と知的好奇心の充実を図ることができているため、90歳を超えた今でも健康的に生活することができていると考えられます。
規律正しい生活がもたらした長寿という結果
次にご紹介するのは、バフェット氏の盟友、チャーリー・マンガー氏です。実を言うとマンガー氏は2023年に亡くなってしまったのですが、最後まで隠居することなく、99歳まで現役の投資家として、またバークシャー・ハサウェイの副社長として、バフェット氏の右腕として活躍し続けました。2大巨頭が超高齢になっても一線で活躍し続けるのは奇跡的なことですが、気になるのはその秘訣です。
実はマンガ―氏は、バフェット氏とは全く逆の生活スタイルを通したと言われています。食べる物に関しての情報は得られなかったのですが、健康管理を重視し、規律正しい生活を送るように気を付けていたという逸話が残っています。
さらにバフェット氏と同様、知的探究心が強く、日々学ぶ姿勢を崩さなかったと言われているのです。そして長期的な視点を持ち、冷静で忍耐強くあるという投資スタイルを取っていたことから、ストレスが少なく、安定した精神状態を維持し続けていたのは想像に難くありません。投資スタイルは個々に異なるのは当然としても、生き方に関してはバフェット氏と対象的と言っても過言ではないでしょう。
両者に共通しているのは、精神的ストレスが非常に少ない状態であったこと。そして、常に未来を見据え、リスク管理意識が不可欠な「投資」という仕事を、生涯現役で行っていたことです。それらが彼らの長寿に少なからず影響を与えたのではないでしょうか。
結局のところ「お金持ち=長寿」なのか?
一方で、見方を変えると2人の長寿は「潤沢な資産」が成し得たことであるとも考えられます。つまり、お金のことを気にすることなく、好きなものを食べ、好きなことをし、何不自由なく生きることができていれば、健康など簡単に手に入れることができるのではないか?と。
もちろん科学的な根拠はありませんし、バフェット氏やマンガー氏のように超がつくほどの資産家ではなくとも長生きをしている方は数多く存在するのが事実です。
ただし、これは国内に限った話ですが、日本人の死因の実に80%が慢性疾患(生活習慣病)であり、その原因として長年のAGE(糖質に代表される老化物質)の蓄積、酸化ストレスの暴露、慢性炎症によるダメージ、異常DNAの蓄積…などが挙げられています。
老化物質や生活習慣病にフォーカスするなら、バフェット氏の食生活はそれに当てはまると思いますし、それが祟ったのか、氏も81歳の時に初期の前立腺がんで治療したというニュースも。もちろんバフェット氏の病は幸運にも早期に発見されたため、すぐに治療したことで完治していると言われています。
つまり、メディカルチェックを怠らず、悪の芽は早々に潰しながらも、ストレスフリーな生活スタイルを続ける。これが理想的だと思いますが、何より潤沢な資産を持っていれば、高額な医療費を出すことができるし、費用を気にすることなく健康管理のための人間ドックや予防医療を受けることもできるわけで、やはり保有している資産の程は、長寿に大きく影響するのは間違いないと言えます。健康のためにも、一日も早く資産運用をスタートさせ、生活に不安のないストレスフリーな老後を目指すことをおすすめします。
次回もぜひ、お楽しみに。
市川雄一郎
グローバル・ファイナンシャル・スクール校長兼講師。1級FP技能士、世界24カ国のFP国際資格CFP®認定者。大学の客員教員としても教鞭を執り、また東京証券取引所から日本のお金の専門家「東証+YOU応援団」として、
全国の資産運用に関する講演活動に尽力。金融機関職員やそのお客様向けセミナーの講師も務める。物腰やわらかで明快な講義は絶品で、多数のファンがいる。著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え』(日本経済新聞出版)など。監修本も複数出版しており、メディア出演も多数。
●GFS監修~投資の達人講座 https://toushi-up.com/cfm/kin_ad04.html
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