見出し画像

あなたの「資産寿命」は何年?「投資」がそのカギを握る理由とは?

お金の学校「グローバル・ファイナンシャル・スクール」校長・市川雄一郎氏が、お金についてやさしくアドバイスする本連載、第1回は「医療費」にフォーカスし、健康寿命と老後資金にまつわる話を紹介しました。
お金の専門家が警告!老後資金は2,000万円では足りない‼
 
今回はその対になる「資産寿命」と、資産を増やし資産寿命を延ばすために欠かせない手段の一つ、「投資」についてのお話です。

そもそも「資産寿命」とは何か?

資産寿命とは、資産がその経済的価値を維持、または生み出す能力を持続する期間のことを指します。また、資産寿命は物理的な資産(不動産、機械設備など)だけでなく、金融資産や知的資産にも適用されることは言うまでもないでしょう。
 
そして、資産寿命を延ばすことは、資産の価値を長期間にわたって保持し、最大限の利益を引き出すために重要だと言えます。
もっと簡潔に表現すると、資産寿命とは言わば「老後の生活を営んでいくにあたって、これまで形成してきた資産が尽きるまでの期間」となり、つまり資産寿命が長ければそれだけ老後のお金の心配が少なくなるということです。

「投資」なら資金が大幅に増やせる可能性が!

「投資」が資産寿命を延ばす最適な手段である理由は、投資を通じて資産を増やしながらインフレや市場変動に対応し、長期的に経済的な安定を確保できるからに他なりません。
 
インフレが進むと、同じ額の資金で購入できる物やサービスの量が減少します。つまり、現金をそのまま保有していると、長期的にはお金の価値が下がり、資金が目減りする可能性が高くなるのです。
そしてそのインフレを打ち負かす手段として有効なのが「投資」であり、たとえば、株式や不動産への投資は、インフレに伴って価値が上昇する可能性があり、現金の価値低下を補うことができます。
 
では、具体的に投資が資産寿命を延ばす手段となる最大のポイントは何か? それは、投資が持つ「複利効果」を得ることができる点に尽きます。
 
詳しく解説すると、投資によるリターンは元本に加えて利益にも利息がつく「複利効果」により、時間とともに大きくなります。複利の力を利用することで、最初に投じた資金が時間をかけて指数関数的に増えるため、資金を効率的に増やすことができ、資金寿命を延ばすことに貢献してくるのです。
 
株式市場の歴史的なリターンは年間平均で6~7%とされていますが、これを複利で20~30年運用すれば、初期投資額が大幅に増加する可能性があります。資金を目減りさせることなく、永続的に利益を得ることができるカラクリこそ、この「複利効果」にあると言っても過言ではないのです。

資産寿命を延ばすためにおすすめの投資手法

ご存知の通り、投資には様々な商品・手段があり、投資経験がないと個々の特徴やメリット・デメリットなどは知る由もないでしょう。
一つ一つ細かく噛み砕いて解説するのは次回以降にするとして、ここでは資産寿命を延ばす手段としておすすめできる「投資手法」についていくつか簡単に紹介していきます。

⚫︎株式投資

株式への投資は、企業の成長に伴うキャピタルゲインや配当収入を通じて資産を増やす手段です。特に安定した業績を持つ成熟企業の株式に投資することで、長期的な資産価値の維持と増加が期待できます。
株式を保有することで得られる配当金(企業の業績によってもらえるボーナスのような仕組み)や、企業のサービスや商品が得られる株主優待も株式投資の大きな魅力と言えます。

⚫︎不動産投資

不動産はインフレヘッジとして有効であり、賃貸収入や物件価値の上昇によるリターンを得ることができます。また、物理的な資産としての耐久性が高いため、適切な管理とメンテナンスを行うことで長期間にわたって価値を保持できます。
初期投資額がやや嵩む点や、管理に手間と経費がかかる点は気になりますが、長期間に渡って安定的な利益を得る手段としては優れていると言えるでしょう。

⚫︎債券投資

債券は比較的低リスクで安定した収益を得られる手段であり、投資ビギナーでも手軽に始められる商品として知られています。
政府債や高格付け企業債に投資することで、資産の一部を安全に運用し、ポートフォリオ全体のリスクを低減するといったメリットがある点も覚えておくと良いでしょう。

⚫︎インデックスファンド・ETF

分散投資が容易なインデックスファンドやETF(上場投資信託)は、低コストで幅広い市場に投資する手段として有効です。これにより、特定の市場やセクター(業種)のリスクを分散し、安定したリターンを狙えます。
ちなみに、インデックスファンドは口座を開く証券会社によっては100円から購入することができるため、低資金で投資を始めたい方に向いた商品と言えるでしょう。さらに売買のコストも安く、無料で手続きできるところも多いため、正に初心者向けの手段と言っても過言ではありません。

目標を決め、投資計画を立てることが大切

資産寿命を延ばすためには、まず退職後の生活資金など、将来の必要資金を見積もり、具体的な資金目標を設定すること。そして、それに基づいた投資計画を立てる必要があります。
 
さらに、市場環境や個人のライフステージの変化に応じて、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ・配分)を定期的に評価し、必要に応じて調整することも欠かせません。これにより、リスクとリターンのバランスを維持し、資産寿命の最大化につながります。
 
そして、投資を手段として活用する以上、気にするべきは「税金」の存在です。投資における税負担を最小限に抑えることで、資産の実質的な成長を促進するため、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用するほか、資産の配置や売却タイミングを工夫することで、税金の影響を軽減する必要があります。
 
もちろん、資産を延命したい気持ちは強いものの、そもそも投資そのものについてよくわからないという方も多いと思います。が、資産作りは早め早めに準備を始めることが肝心。「わからない」をそのままにせず、明日からでも少しずつ投資の勉強を始めてみませんか?

では、ぜひ次回もお楽しみに。

市川雄一郎

グローバル・ファイナンシャル・スクール校長兼講師。1級FP技能士、世界24カ国のFP国際資格CFP®認定者。大学の客員教員としても教鞭を執り、また東京証券取引所から日本のお金の専門家「東証+YOU応援団」として、
全国の資産運用に関する講演活動に尽力。金融機関職員やそのお客様向けセミナーの講師も務める。物腰やわらかで明快な講義は絶品で、多数のファンがいる。著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え』(日本経済新聞出版)など。監修本も複数出版しており、メディア出演も多数。
●GFS監修~投資の達人講座 https://toushi-up.com/cfm/kin_ad04.html
●イチカワ校長とウサコ先生の世界一わかりやすい投資額  https://www.youtube.com/@ichikawakoucho_toushigaku


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集