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規定演技と自由演技

 先日、埼玉県入間郡三芳町の石坂産業株式会社を見学してきました。一般社団法人プロティアン・キャリア協会の認定者コミュニティ・東京支部で企画された「大人の社会科見学」に参加してきたものです。
 さて、この企画を知ったとき、私が興味を覚えたのは
① 産業廃棄物リサイクル業界で女性社員比率が42%
② さらに、女性管理職比率が57%
この2点でした。
産業廃棄物処理、リサイクルの業界で、こんなに女性比率が高いってどういう会社なんだろう?と思ったわけです。

 実は、石坂産業さんはテレビ東京・カンブリア宮殿にも取り上げられて2016年7月28日に放映されたこともある企業で、かなり認知度高い企業だったのですね。そのような会社を知らなかったことはお恥ずかしい限り…💦

石坂産業株式会社ビジョン
 

石坂産業ウェブサイトより引用

※テレビ東京・カンブリア宮殿

 再資源化率は98%というのも凄いことなのですが、それよりも社員の皆さんの主体的な仕事への取組みなどのお話は聞けば聞くほどに、組織開発や人材開発という視点からも学びが多く、驚きの連続でした。何と言えばいいのでしょうか、企業文化がこんなにも社員の皆さんの力を引き出すことになるのか!という驚きと、そうした文化を創ることの大切さを感じてきました。

               百聞は一見にしかず

 機会があったら、是非見学に行ってほしい。
 再資源化、リサイクル事業という特性からも地域との共生は特に重要であるのは言うまでもなく、そのために産業廃棄物を粉砕分解する工程全体を新しく建屋を立てて完全に覆ってしまうというアイデア、そしてそのために年間売上を超える金額の投資を実行したというお話にも驚かされたし、産業廃棄物を運搬してくるトラックの運転手の方たちも(お客様として!)格安で利用できる食堂や休憩スペースを提供していました。働く環境作りは自社だけでなくお取引先の社員も含めて考えられている。
 そして、再資源化に対する自社内に閉じない技術チャレンジは重機メーカーや設備メーカーといくつもの実験的なコラボレーションを生んでいる。お話を伺うと、そうした新たなチャレンジを実際の工程に取り込むと従来のやり方よりもコストアップになることもあるそうです。それらを採用してもなお、業績を達成していくのは本当に大変なことだと思いますが、そうした姿勢がある会社だからこそ、越境する企業の連携からソーシャル・インパクトがある結果を出せるのだろうと思いました。

 いま、石坂産業の新卒入社の競争倍率はとても高くて(なんと50倍!)、海外からも応募があるのだそうです。新卒だけでなく、キャリア採用も多いそうですが、入社される方は皆、石坂産業でしたいことがある!、石坂産業ならば実現できるんじゃないか?と考えていることを持っている人が多いとか。見学会のあとのワークショップで、「このような産業廃棄物の再資源化のノウハウは海外にも輸出できるのではないか?」と思って質問したところ、まさにネパールでこれから「廃棄物再資源化プラント建設」の新しい取組みが始まるところでした。
※同社プレスリリース 11月21日
https://ishizaka-group.co.jp/news/article/rsoh6clp6

 このような話をたくさん聴いて思ったことは、働きがいは誰かが用意してくれるものではなく、自分自身で見出すものなんだろうということです。
石坂産業は”働きがい”を持って入社してくる社員一人ひとりが会社を通して社会の課題に向き合っていて、そこに会社は”働きやすい環境”を提供することで会社全体がチャレンジし続けている。そのような会社だと思いました。

 ルールや制度は組織が効率的に機能するために必要ですが、それだけでは規定演技が上手くなるだけ。成し遂げたい何かを持った社員が集う会社では、規定を踏まえながらも一人ひとりが自由自在に、企業のパーパスの実現に向けて"自由演技"するからこそ、面白く興味深いチャレンジが起こるのだろうなと感じました。

 共創と協働が連続的に起こっている組織は規定演技だけでなく自由演技も巧い。それが起こる企業文化醸成とピープルマネジメントの大切さを改めて実感してきた「大人の社会科見学」の機会でした。

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