手の機能を高めるための土台作り
当ブログへ訪問していただきありがとうございます。
福岡県で理学療法士をしてますkenkenです*
日々のちょっとした疑問や曖昧なことに、"しっかりと向き合い"皆さんにとって有益な情報発信ができるようにお役にたてればと思います。
はじめに
本日は「運動発達を考慮した評価の視点(続き)」と、「手の適応能力を高めるトレーニング」で、たまたま見つけたある動画がシンプルだけどすごく理にかなった内容だったので紹介をさせてください。
私自身は理学療法士で「手」が専門ではありませんが、その「手」を使った応用動作や社会的な役割を遂行するための土台作りに少しでも助けになればという思いでまとめてみました。
🔲 運動発達の原則
成長に伴い変化する基本運動の状態を「運動発達」と呼び、おもに静的および動的姿勢の安定性の「成熟過程」といえます。
人の動作を見る場合、四肢先端に注目しがちですが姿勢の安定なしに、四肢を操作することはできません。
🔲 運動発達からみた困りごとへの介入ポイント(課題:自販機のボタンを押す)
上述の運動発達の原則を理解した上で、
患者さん・利用者さんが現在困っていること、できるようになりたいことを局所(手足)と身体全体を診ながら介入していきます。
たとえば、脳卒中片麻痺を呈した方で、「立ちながら自動販売機で飲み物を選び、麻痺手でボタンを押せるようになりたい」と設定します。
《必要となる構成要素》
・立位保持能力
・片足への体重移動能力(左右)
・体幹の垂直位保持
・麻痺手の挙上
・麻痺手でリーチ運動
→ 自動販売機のボタンを押す
麻痺手を動かそうとした際に、体幹が安定していない状態では麻痺手の動きに身体全体が引っ張られバランスを崩してしまうため、体幹が傾かないように事前に安定させておく必要があります。(予測的姿勢制御)
また、身体の中心が不安定な状態では、身体の末端(ここでは麻痺手)が立位姿勢を保持するために固めてしまい手が開きにくい、手が伸ばしにくいなど「ボタンを押す動作」の妨げをしてしまいます。
ここで大事な考え方としては(私見)
を十分に考慮して運動課題を設定する必要があります。
簡単に言うと、立っているのがままならない人にいくら立ちながらボタンを押す練習をしていても学習効果が得られにくいことを指しています。
苦手なことを反復練習して獲得する視点もありますが、本質的に「なんで立っているのがきついのか」「座りながらであれば麻痺手のリーチはできるのか」など、運動を分解して「どの運動がこの対象者に必要なのか」をしっかり分析していくことが大事になると考えます。
そこで、以下の粗大運動の発達過程において、座位や立位での左右への体重移動能力や片側への体重移動に伴う上肢リーチ(体幹と分離した動きは可能か)など「ボタンを押す動作」を遂行するために必要な運動要素を考えて、治療肢位を選択していきます。
※立位がいいのか、座位または臥位なのか獲得したい要素を学習するために適している肢位を決定します
🔲 (続き)残る課題・問題点に対して、本質的なアプローチへ
土台を整えた上でも手の問題が残る(開きにくい、伸ばしにくい)場合は、「つつむ→つかむ→つまむ」といった全体的な運動から分離運動を学習していく必要があります。
※ここでは「1本指を伸ばすまたは拳で押す」などの分離運動を指しています
リーチ運動には、対象物に到達する前に、対象物の形や大きさに合わせて手の形状をかえて接触させ調整する(プレシェーピング)の考え方があります。
この「手の構え」についても視覚と体性感覚のマッチングが必要になります。
おわりに
現スポーツ庁長官の室伏広治さんが提唱された手の適応トレーニング(新聞紙トレーニング 10:40)を紹介します!!
# 手の適応能力を高める
# 力を抜くほうが難しい
# リラックスの仕方(最低限の力を保っておく)
皆さんの日常生活に少しでもお役にたてたら光栄です🦥🍃
最後までご覧になっていただきありがとうございます^ ^