脳卒中後の上肢練習には両手動作がよい?
当ブログへ訪問していただきありがとうございます。
福岡県で理学療法士をしてますkenkenです*
日々のちょっとした疑問や曖昧なことに、"しっかりと向き合い"皆さんにとって有益な情報発信ができるようにお役にたてればと思います。
はじめに
皆さんは今まで、病気や怪我で身体に制限がでたり、日常生活に不便さを感じた経験はありますか。
私自身は、学生時代にスポーツで打撲したり、運転中のケガで肩や足を負傷した経験があります。
腕を骨折したときは、利き手が使えなくなったことで、今までの当たり前が急にできないことだらけで、とても困ったことをよく覚えています。
それでは本題へ
例えば、これが脳卒中を突然患い、ある日急に片側の手足が不自由となり、片手生活を余儀なくされた場合にはどうでしょうか。
一時的なものでなく、一定期間続くとしたら、どんな日常生活がイメージできますか。
実際に、臨床現場で患者さんのリハビリ対応をするにあたり、勉強しながら分かろうと努力しても、
「あぁ、ここはこうするんだ」
「こんな方法もあるんだ」
といった気づきや発見は、臨床10年以上が経過した今でも患者さんから学ぶことがあります。
では、、手でおこなう活動を例にすると、
自分の実生活を振り返ってみたときに、両手でしていることと、片手でしていることってどんな場面がありますか?👀
改めて考えてみると、意外と答えきれないことってあるように思います。
片手動作と両手動作の分類
「片手動作、両手動作、片手または両手のいずれか、両手の同時使用」の4つの分類でまとめられています(下表)。
日常生活での手の使用場面
上記の表を簡単にまとめると、以下のような動作が該当します。
以上のように、手でおこなう活動を分類すると、「片手動作や両手動作、その組み合わせ」で行う動作があります。
ここで、もう少し深く考えてみましょう。
片手動作をおこなっている内容で、もし利き手が運動麻痺で動かしにくくなったら、利き手交換の必要性やなにかしらの自助具により生活の工夫が必要になってきます。
また、日常生活では片手だけでなにかをすることより、もう片方の手で固定したり安定させたり、手を持ち替えたりと無意識に両手を使っているようですね。
普段、何気なくしている動作なので不自由さに気づきにくいですが、、
病気や怪我をしたときは、
まとめると「両手動作」と、「片手同士の組み合わせ」が必要とされる動作において、困難さを著明に認めやすくなることが予想されます。
研究報告①
健常高齢者(55-77歳、15名)の日常生活における利き手と非利き手の使用頻度をチェックリストや観察研究で調査されています。
結果としては、
▶︎利き手は非利き手よりも頻繁に使用された。(72.5% vs 63.7%)
まぁこの結果は当たり前ですよね。。
▶︎ 被験者は両手動作の活動において、片手動作のみでの活動または活動なしよりも手を使用していた。(両手動作は54%、片手動作は29.4%)
先ほどの問いの1つ目安として、日常生活では両手でおこなう動作が約半分の割合であることが可能性として報告されています。
研究報告②
脳卒中片麻痺患者(69名、重度上肢麻痺)を2群に分け、1つは麻痺側の上肢のみ(片手)を用いた運動グループと、もう1つは麻痺側と非麻痺側(両手)を用いた運動グループで、それぞれ1日2回のリハビリを計6週間実施。
結果は、麻痺側のみ(片手)を用いて運動を行ったグループよりも、非麻痺側を含めた両手で運動を行ったグループのほうが麻痺側の手の運動機能が向上したと報告しています。
※もともと、ヒトは片手で作業を行うよりも両手を使った作業をすることの方が圧倒的に多くその結果、片手では活動しないが両手を用いることで活動を始める神経回路が備わっていると言われています。(Dietz.2016)
まとめ
脳卒中片麻痺者の上肢運動において、麻痺側のみに対するアプローチも重要であるが、両手動作を用いた運動メニューについても考慮する必要があります。
元来、健常なときから無意識的に多く使用していた運動経験を考慮して、練習課題の要素に取り入れてみてはいかがでしょうか。
皆さんの日常生活に少しでもお役にたてたら光栄です🦥🍃
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