アはアーケードのア 第38回『バラデューク』(1985年/ナムコ)
敵オクティを倒しゲートを目指す探索型シューティングゲーム
『バラデューク』は80年代後半のナムコで『トイポップ』の次ぐらいに好きなゲームです。当時1コインクリアできるぐらいプレイしたけれど、今遊んでもかなり楽しめますね。これだけの遊びを1スティック1ボタンで実現していることにも改めて驚かされます。
何でこんなに好きなんだろうと考えるに、銃の反動や低重力空間の独自性は言わずもがなで、基本的には一つひとつの仕様がよく吟味されてることと、チューニングが丁寧という当たり前の積み重ねがよくできてるように思います。ワールドが進むごとに的確に難易度が上がっていくところなんか本当にうまい。
効果的に使われる迷路の壁と任意スクロールシステム
もう少し具体的に一点挙げると、今回アーケードアーカイブス版をプレイして、任意スクロールと迷路壁を使った敵との攻防がすごくうまく活きていると改めて実感しました。
漫然と茫漠たるマップがあるわけではなく、迷路の壁によって“半小部屋”的な地形があちこちに構築されていて、そこに必須ターゲットであるオクティが待ち受ける形が多い。オクティの囲い方と配置、そして自機ショットは左右方向のみ、これがこのゲームの肝になっています。
“半小部屋”はそれこそ壁が二辺程度でも置き方次第でかなり効果的で、配置によっては、どうしても危険な方向から近づいて距離を詰めることが求められる。自身のショットが左右にしか撃てないことも相まって、常に同じ角度から懐に潜り込んだり、同じ距離から撃ち込み始めたり、ということができない。
ひとたびオクティに近づくと、しつこく的確に弾を吐き続けてくる。危ないと思ったら、いったん遠くへ退くこともできるのだけど、ちょっと離れればすぐ射程外になってしまうし、壁があるためにヒット&アウェイが難しい配置も多い。だから、オクティは一切動かないにもかかわらず単調にならない。
それと、HP制ではあってもダメージ時に無敵時間がないので、耐久力にものを言わせて力押しでクリアするということができない。雑なプレイを許してくれない。この辺は当時のゲームらしいところでもありますね。
的確に邪魔をしてくる敵キャラクターたち
敵の個性づけがとてもしっかりしていて、オクティは固定砲台もしくは要塞的なキャラクターで、弾速は遅いけれど大量にしつこく撃ってきて、プレイヤーの接近を阻止しようとする。
それ以外の敵は、上から落ちてくる、横から突っ込んでくる、ワープアウトしてくる、耐久力が高くて邪魔、すぐ消える、すぐ逃げる、フェイントをかける、弾速が速いなど、役割が明確。オクティに足りないところをカバーしてるとも言える。HP制ということもあって、不意打ち的な攻撃が多いのも特徴。
あと、チェックポイントであるオクティがあちこちに散ってて、前進するだけのゲームではないということと、敵の多くは倒さない限り何度でも出てくるため、振り切って逃げることが難しく、原則としてしっかり対処する必要がある。ここも任意スクロールと遊びがうまく噛み合ってる点だと思います。
パケットとシールドとボス特攻の関係も面白い。パケットを集めるとシールドが増えやすくなる(あくまで確率の上昇)。そしてシールドと交換されず残っていればボス戦で特攻してくれる。これでさらに、わざとパケットを倒し続けると隠しボーナスが入るという捻り方。実に風変わりな仕様です。 了