とにかくやってみる
昨夜は素敵な御夫婦に日本料理のお店に連れて行っていただいた。広島では噂のこのお店のお料理はとても優しく滋味深いきれいな味わいの料理だった。
その中での会話も面白かったのでちょっと記しておこう。
言葉の選択
僕は4年前から日本の35歳以下の料理人のコンペティション「RED U-35」に挑戦していた。この大会は35歳以下で日本国籍を持つ全ジャンルの料理人を対象にした、いわば若手料理人の総合格闘技みたいな大会だ。
そして2017年の大会で僕はグランプリになった。
一般層には全く認知されていないのだけれど料理業界ではわりと大きな大会なのでどこかのお店に食べに行くと初対面でも僕のことを知っていたりすることもある。
昨夜もそのパターンで同い年の和食店の店主さんは僕のことを知ってくださっていて流れで「RED U-35」の話になったときにおっしゃった言葉が
「僕はああいうの興味ないんっすよ」
うん、全然いいと思う✩
僕もあの大会に出ることが正しい、出ない奴なんて終わっているなんてまったく思ったこともない。
人生のチャレンジの選択なんて100人いたら100通りの選択があって当然でそれに意味を見出す人もいれば他に意味を見出す人もいる(^_^)
ただ話が進むにつれて出てくるのは「興味がない」と言いつつ大会の僕の動画はしっかりチェックされていたし大会のことは意外と詳しかった(笑)
この「興味がない」発言は実は初めてではなくてとくに広島の同世代の料理人に限って言ってくるから面白いのとだいたい興味がないと言いつつしっかりと調べている。
「興味がない」という人に共通していることが2つあって
・自分の店が忙しくてそれに毎日猛烈に入り込んでいるから大会なんかに集中できない
・自己アピールすること、言葉にすることが苦手
「忙しい」という人
一つ目の「毎日自分に入り込んでいるから・・・」というのは、なるほど自分の世界に入り込み物凄い集中力と拘りで戦っているように思える半面、大会には同じようにオーナーシェフで物凄い拘りと集中力を兼ね備えている方がたくさんいらっしゃる。
第1回のグランプリの杉本さんや準グランプリの安發さんなんかは僕なんか足元にも及ばないガチガチのフランス料理人で異常な程の拘りを兼ね備えているしおそらく毎日とんでもないほどのストイックさで働いている。
僕もフランスから応募していた当時は毎日の勤務時間は朝7時~夜1時まで休憩なしのぶっ通し。大会用の試作や撮影は当然仕事の後や休みの日で1次審査と2次審査の提出時は毎日2時間ぐらいの睡眠時間を2ヶ月以上やった。(もう死んでもやりたくない笑)
「忙しいから」「入り込んでしまうから」という発言は「自分はキャパシティが小さい人間です」と自己紹介してしまっているようなもので僕は「忙しい」と発言する人はだいたいそのように理解するようにしている。世の中にありえないほどの仕事量を物凄い集中力で毎日過ごしている人なんてめちゃくちゃいるのだ。
「自己アピール」や「言葉にするのが苦手」
これもよく言われるのだけれど「赤井さんみたいに言葉にするのが得意ではない」や「アピールするのが得意ではない」は言われるのだけれど残念ながら僕も全然得意ではない。
こうしてnoteに文字を投稿しているのも得意だからやっているわけではないし、むしろ文章を書くことの難しさしか感じていないし文章力のなさにガッカリしかしていない。伝えるのが上手いから書くのではなくて伝えられる人間になりたいから書いている。
自己アピールや言語化も同じで苦手だから克服するために訓練をしている。
フランス時代は毎週休みの日にカフェに入り浸って自分の将来を徹底的に分析したし今はshowroomの前田裕二さんのメモの魔力の自己分析1000問を牛歩のごとく毎日進めている。
毎日なんてできないと思いがちだけれど要する時間は20分程度で十分だ。
20分が捻出できないなら時間の過ごし方が完全に間違っている。
自己アピールも自分のお店のビジョンもコンセプトも全て「なぜそうでなければいけないのか」を自分に投げかけて自問自答を繰り返している。毎日自分にプレゼンしているのだ。
結局のところ僕が自分の判断基準にしたいのは「得意」とか「苦手」ではなく「やるか、やらないか」。
苦手だからむしろやる。
だいたいのことは「イケる」って思って言い切っちゃってアジャストいけばなんとかなるもんだ。
要はチャレンジと行動を選択していきたい。
REDの話に戻すと僕はチャレンジしてマイナスなことはなくてプラスしかないと思ったからチャレンジしていた。
そりゃあ落ちたら悔しいし勝ったら嬉しい。
その心を動かす場に足を突っ込むことで成長していくのだと思う。
きっと落ちたらどうしよう?とか考える人もいると思うんだけれど問題ない。
誰もキミが落ちたことなんて知らないからだ。
そして勝った僕のことも誰も知らないからだ。
結局誰も何者でもないのだから。
そして、広島に関しては落ちたらどうしようと思わせるきっかけにきっとコイツがいると思っている。
ソーセージクリエイターと謳っているこの男だ。
元格闘家でソーセージしか作れないにも関わらず毎年のようにREDに応募するのだ。もう一度言うけれど彼はソーセージしか作れないのにだ。
しかもソーセージしか作れないのにたまに一次審査突破目前のノミネーションに名を連ねたりするからたまったものじゃない。
料理人からしたらソーセージしか作れない男に負けるなんてたまったものじゃないのだ。
何を隠そうフランスから応募しているときに僕はこのソーセージクリエイターに驚異を感じていたのだ。
「おい、広島にヤバそうな奴がいるじゃねぇか」
「鹿肉捌いてる画像がめちゃくちゃ仕事できそう感出してんじゃねぇか」
「何だよジビエ料理って」と。
今思えば恥ずかしい話だ。
ただここに答えがあるのだと思う。落ちるも受かるも関係なく、料理ができるもできないも関係なくチャレンジ、行動している男の答えが。
ソーセージしか作れないと言いつつ数年前までソーセージすら作れなかった男がソーセージを作れるようになっているからだ。
そんな男のソーセージは東京のホテルで使われていたりするのだ。
僕はそんな彼みたいなチャレンジングな奴が最高に好きだ。
苦手とか得意ではないのだ。
言い切っちゃってやってしまえばいいのだ。
僕のレストランでは必ず彼のソーセージを使うしそういう人といいものを作っていきたい。
さて、やらないといけないこともあるのにこんな記事に僕は1時間以上費やしている。
完全に時間の使い方を間違えている。
さぁ開業準備のことをやろう。
#やるかやらないか #行動 #言葉 #チャレンジ #コラム #開業準備