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新個出 間世(竹田 健二)
2022年9月27日 15:49
日々のあくはうかびあがってすくいとられることもなくいずれいずこへ内のうちまでしずみ しずむ音もないまま膜のうちのしょげたゆめはうかばれぬままうかぶまま熱にうかされすかされてすずみ すずむ秋のゆうぐれいかりを下ろしあめかぜよけるみずのそこにはあの日のおもいきまずいうずまききりきりまいでよどみ よどむ見えないこころ試しあいしたみじゅくなみそぎす
2022年9月9日 09:21
湯は空気の玉を含んでふつふつおどり湯気を吸い込みながら換気扇がまわる今日も熱を受けとめてあいつからもらった黒ずんだ雪平鍋薄きいろのかたまりが沸騰の中でほどける百度近くの熱と五百ミリリットルの水をえて膨れあがる期待あの日笑顔のあいつからもらった黒ずんだ雪平鍋あいつからもらった黒ずんだ雪平鍋あの日の輝きはもうなくてでも今もここにありいつものように一袋40円の
2022年9月6日 14:49
ワイドパンツを翻し風が吹いている彼女の髪の先がふわりと肩を離れ互いがじゃれるように舞いはじめる三十分前に洗った髪から水分にしがみついた香料が離れ風下へと儚い旅に出る時を同じくしてパン工場の機械式のかまどから小麦やら水分やら熱やらに見送られて小さくわずかな粒子が母なる酵母からのなごりを湛えてうわついたように飛び立つ粒子はロバの彫像の鼻先をかすめ空気と戯れながら彼女の鼻