堀田先生のnote記事('24/11/3)へのコメント

私のnote記事(以下,『中平記事11/2』とよびます)

に対する回答として,堀田先生から次のnote記事(以下,『堀田先生記事11/3』とよびます)が公開されました。

堀田先生記事11/3』では,私からの反例である「論理的な穴:その3」に対して納得をされていないようです。以下では,『中平記事11/2』と同じ用語を用います。


この記事の目的

中平記事11/2』では,記事中で述べたように「最終的な返信」のつもりでコメントをしました。堀田先生が納得されるまで,堀田先生の導出過程のどこに間違いがあるかを具体的に指摘したり,私から示した反例について説明や議論をすることは,私にとっては大変な作業です。また,仮に反例である「論理的な穴:その3」が解消されたとしても,ほかの反例も思いつきます。

一般論として,量子論の数学的構造を演繹的に導くためには,自力で反例を探して,反例があるならばその反例が本質的に何を意味しているのかを理解して,反例がないような前提に修正するといった作業を何回も繰り返すことになるかと思います。私自身は,これ以上はキリがないため,堀田先生が提示された『前提』から量子論の数学的構造を演繹的に導くための作業に対してはお手伝いすることが困難ですし,お手伝いをする義理もないと思います。

しかし,『堀田先生記事11/3』にある学術的な議論に関しては,今度こそ最後のつもりで回答をしたいと思います。

主な回答

堀田先生:つまり私の教科書での密度演算子の定義では、全射は成り立つが単射ではない可能性がある。そして実際に上の過去のnoteにおける「論理的な穴3」で、3準位系のその「反例」を挙げていると主張をされています。
しかしこれはおかしな主張です。
(中略)
まずは「論理的な穴3」のモデルの2準系バージョンが私への反例と成り得るのかを、中平さんは答えるべきだと思います。

回答:1番目の『前提』である「任意の2準位系では量子状態を密度行列や状態ベクトルで表現することが可能」は,「任意の2準位系$${Y}$$は$${\mathbf{St}_Y \cong \mathsf{Den}_2}$$を満たす」という意味だということで合意が取れていると思います(実際,このことは『中平記事』でも認めています)。この前提が成り立つことを仮定している以上,任意の2準位系$${Y}$$は$${\mathbf{St}_Y \cong \mathsf{Den}_2}$$を満たしますので,「論理的な穴:その3」の2準位系バージョンが反例になることはあり得ません。

一方,$${\mathbf{St}_Y \cong \mathsf{Den}_2}$$が成り立つからといって任意の3準位系$${X}$$が$${\mathbf{St}_X \cong \mathsf{Den}_3}$$を満たす訳ではありません。私の提示している「論理的な穴:その3」は,反例になっています。

堀田先生:2準系での矛盾は、2022年8月16日下記のtwで直接中平さんにお伝えしていましたが、具体的な回答が全くありませんでした。

回答:Xの以下のポストで具体的に回答したつもりです。https://x.com/KenjiNakahira/status/1559823296505708544

その他のコメント

堀田先生:同じnoteにある「論理的な穴2」も以前は反例に上げられていましたが、それは10個の物理量の期待値に対する2つの関係式の実験的チェックという私の前提条件から、反例にはなっていないことを中平さんも認められており、それは解決済みです。

回答:細かい話ですが,「論理的な穴:その2」につきましては,『中平記事』で「8/29にさらに前提が変わったことで,この穴は解消されたようです」と述べました。それ以上のことは述べていません。

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