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ファースト・インプレッション

経験的に見て、第一印象というものはたいてい当たっている(もちろん全てのことに例外はある)。

これと同様で、人が思わず口にする最初の言葉というのは、往々にしてその人の本音の発露だ。もちろん、世の中には元来にしてまわりくどい話し方をする人もいるから、例外はある。

僕は人がとっさに発した言葉を聞くのが好きだ。

みずみずしくて、飾り気がなく、とても美しい。表現技法やボキャブラリーの巧拙なんてものはどうでも良い。
その人らしさの発露がとても素敵だし、好きなのだ。

これが悪い方に作用しているのが政治家などに代表される失言の数々だ。例外はあるかもしれないが、ほとんどの場合発した人間の本音だろうと思う。クズである。


話を戻して、僕がfacebookに、ほぼファーストテイクのヘタな演奏をわざわざアップしてるのも似たような理由だ。ミスタッチの数々を晒してまでこだわる理由がある。

最初に弾いたものになぜこだわるのか。

それは、弾きたいと思った瞬間に触った楽器の出す音が、最も自分の気持ちの発露に近いからである。時間が経てば経つほどそれは色褪せてウソくさくなる。

これは文章についても同じことだ。
僕は推敲はする(たいていは酔ってる時に書いてるので、「てにをは」などの誤りが多いから、そこはなるべく見直して修正する)。

しかし文章の骨格は絶対に変えない。

気持ちの発露というのはそういうものであって、何よりも自分らしさを発揮しているはずだからである。


やがて酔いが覚めたとき、いつも顔が真っ赤になるほど恥ずかしい。
恥ずかしいけれど、それがそのときの自分の本音なのだ。だから骨格は変えない。

僕の生涯通しての後悔に、ジャズを学べなかったことがある。学べなかった理由を述べると愚痴になるので述べない。

ジャズもまた、その瞬間のその人の感情の発露である。多少は演奏者の指先のクセという一貫性はあるにしても、基本的には即興演奏で成り立っているがゆえ、原則として二度と同じフレーズはない。
そうした刹那的な美しさが実に人間らしく、とうといと思う。

ただ、通常のピアノ演奏や文章とは違い、ジャズには学問としての側面もあるから、適当に済ますわけにはいかない。
一言で言えば、

「こういうときにはドは弾いてはいけない。こういうときにはソの♯(シャープ)は弾いてはいけない。なぜなら変な感じになっちゃうからだ」

という学問だからである。

ともあれ、刹那的な美しさという点では今述べた全てのことは似ている。

人が人らしさを発揮した瞬間というのは、
この上なくとうといものだ。

こう書いてる今も僕は酔っているけれど、
先ほども述べた通り、
これが僕の本音の発露である。

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