【詩】 地球の声
シュオー シュオー
地球は呼んでいる
コココココ コココココ
地球は鳴いている
カラカラと
命を巻きあげ
ササササ ザザザザと
生命の粒を放った
地球は息をしていた
それは それは
四十六億年ものあいだ
光と地と石と星と宇宙と
初めての命と声と共に生きて在り
それらを刻(こころ)で吸うもので
あそこに生きていられた
シュオー シュオー
地球は呼んでいる
コココココ コココココ
地球は動いている
カッカッと
命を擦りあわせ
キキキッと
生命の粒を引っ掻いた
突然びっくりしたかのように
それを警鐘させて
我々に訴えかけるのだ
音は
憤怒でも悲鳴でもなく
仏のように優しく無心に
それらを鳴らすのだ
たとえば
宇宙という存在がないとして
太陽という存在がないとして
地球はそこにあっただろうか
計り知れないほどの大きな礎であり
命の希望の跡であり
破壊の力を持つ物体である
生きた星の上で
我々は息を重ねている
わたしたちの中で細胞が生きているように
地球はそれを知っていたとして
我々がそれを知ることはない
地球は命の母である
太陽は地球の母である
宇宙は星々の母である
一〇〇億年以上も昔から紡がれていた
あとに
生まれつないだ者が我々であれば
それはどんなに小さな命だろう
それらの価値は
どれだけの歴史の果てにできた命だろう
地の球の名を授かった星は
知らぬ間に声となって息をする
オーロラで美しくいい
砂嵐で威風堂々といい
地を揺らし怒号の鼻息でいい
重力で支え
暮らしを与え
優しいまんまるの愛でいう
これほどまでに
悲しげで壮大な声を聴いたことがあるだろうか
自然ほど
地球ほど
この世に勝る音など検討もつかない
シュオーシュオー
ホボボボ ホボボボ
カラカラ コココココ
ササ ザザザザ
カッカッ
キッキッキッ
シュオーシュオー
ホボボ ホボボ
聞こえやしない地の声だ
聞いてはならない地の声だ。
<あとがき>
昨年の秋に開催された「第29回文学フリマ東京」にて手売りしました詩集の表題詩です。
私が高校二年生の時に、授業で地球の電磁振動音を聞いたことがありまして、それを感じたままに書いたものです。帰りの電車の中でひたすら書いた記憶があります。
手に取って下さった方に申し訳ないので公開は控えていましたが、今日は他のネタでnote書けそうになかったので許して下さい。
詩集には表題詩の他に40編以上収録してあります。今後の販売予定はありません。一期一会、興味を持ち、手に取って下さった方には、感謝しかありません、ありがとうございます。
時折、こうやってサボらせて下さい(笑)
ご拝読ありがとうございました。