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生命保険の活用と相続対策
😢生命保険契約にかかわる相続税の失敗事例です。
『亡くなった父は資産家でしたので、母と私たち兄弟3人分の納税資金として、法定相続人の数×500万円までの非課税枠を使って、受取人が私たちとなる生命保険契約を残してくれました。
また、その他にも、契約者を私たち4人の名義にした生命保険にも加入しており、保険料は父が負担してくれていました。
契約者が父名義ではない生命保険契約については、相続財産には含まれないものと思い、これらは除外して申告しました。
しかし、申告後に税務調査があり、保険料の支払いが父である以上、父がこの保険の保有者であるとして、申告漏れを指摘されてしまいました。』
生命保険契約のうち、相続税の計算で問題となるのは、名義人(契約者)が誰であるかではなく、誰が保険料を負担していたのか、という点です。
このケースでは、保険料を支払っているのは父ですが、被保険者が母であるため、父の相続時には対象となる保険事故は起こっていません。
また、契約者が父ではないため、父の相続財産ではないと勘違いされて、相続税の計算から漏れてしまったのです。
これは、「生命保険に関する権利」として父の相続財産になりますので、仮に父の亡くなった日に解約したら受け取れるであろう金額(解約返戻金相当額)を保険会社に算出してもらって、その金額で資産計上する必要があります。
😉その他の生命保険金に関する留意点は次の通りです。
死亡保険金の場合は、契約者、被保険者、受取人の三者が誰であるかによって、課税関係が異なります。
具体例でみていきましょう。
契約者・・・保険料を支払っている人
被保険者・・・その人が亡くなった時に保険料が払われる
受取人・・・死亡保険金の受取人
① 契約者と被保険者が同一のケース
契約者:父、被保険者:父、受取人:母または子 ⇒ 相続税
死亡保険金は、相続人の人数×500万円までは非課税ですが、これを超える部分については、相続財産に加算され、相続税の対象となります。
② 契約者と受取人が同一のケース
契約者:母、被保険者:父、受取人:母 ⇒ 所得税・住民税(一時所得)
母が父に保険をかけ、自分で保険金を受け取るわけですから、保険金は母の一時所得になります。
③ 契約者、被保険者、受取人の3人が異なるケース
契約者:母、被保険者:父、受取人:子 ⇒ 贈与税
母が保険料を負担していますので、母から子への贈与ということになり、税負担が非常に重くなります。
加入済みの保険がこのような契約形態になっている場合には、保険会社に申し出て、受取人の変更をすることをご検討ください。
生命保険は節税対策として、また納税資金対策として活用できる有効な手段です。
非課税控除枠に加えて、父が子に保険料を110万円の範囲内で贈与し、父を被保険者とする保険に加入すれば、納税資金対策にもなります。
賢く節税する方法はいろいろありますので、是非とも専門家に一度相談してみましょう。