いまだからこそ必要な、センスメイキング理論
こんにちは。日本一背の高いITジャーナリストの久原健司です。
前回の記事では、毎週金曜に実施している朝会での、ちょっと良いお話をさせていただきました。
本題のセンスメイキング理論について、今回お話させていただきます。
センスメイキング理論とは、組織のメンバーやそれにかかわる人が、事象の意味に対して納得し、それを集約させる事です。
また何か混沌とした状況においては、結果に対して求められるストーリーを主にリーダーが語り、腹落ちできた組織は強いと言った事になります。
センスメイキング理論に関して1つ代表的な話があります。
アルプス山脈で猛吹雪の中遭難し、テントの中でこの後どうすれば良いか分からない状況の中、1人隊員が地図を見つけ「これで下山できる!」と皆に伝え、その隊は「これで助かった」と下山を決意し、見事に下山したハッピーエンドの話です。
しかしこの話には裏話があって、地図はアルプス山脈のものではなく、ピレネー山脈の地図だったのです。
この話から分かる事は、物事の正確性よりも『下山出来て命が助かる』と言ったストーリーに、隊全体が腹落ちして行動出来たことが、下山するうえで重要だという事です。
これは"冷静に考えたら不可能なことも、思い込むことで実現してしまう事がある"といった内容で、奇跡とはこのような場面で生まれるものだと、改めて感じました。
実は私が起業した時に、お世話になった大株主から、初めに何度も言われたことが、このセンスメイキング理論で、その時の話は山登りを題材にしていましたが、『リーダーは目標である大きな山を見つけ、「この山に登るぞ!」とメンバーの士気を高め、一切の迷いなく先頭を歩き上り続ける必要がある』と教えられました。
正直その時は、『ものすごい体育会系で古臭い』と感じてしまいましたが、会社を設立して3年間はどんな理不尽なことでも、信じて命令に従うと言った制約があったため、それとなく演じていたことを思い出します。
しかし先頭を歩くリーダーが、腹落ちしていない状態で登り始めたプロジェクトは、震災と言った不慮の事故に耐え切れず、組織が崩壊してしまいました。
今思えば本気で思い込んでいなかった私自身の覚悟が、大きな原因の1つだったのかなと感じる事があります。
令和になると潮目が変わると噂される中、今回のコロナは日本だけではなく世界的に経済のバランスが崩れ、大きく変わろうとしています。
少なくとも私を含む多くの経営者は、この変化に対して積極的にチャレンジできないと、会社の存続が危ぶまれると、感じている人も多いのではないでしょうか。
そのためにも、チャレンジを行う前には関わる人に対して、自分の考えを自分の言葉できちんと説明して、納得してもらう事が重要だなと改めて思いました。
この話は良く言われる内容ですが、これがきちんと自分の中で腹落ちしているかどうかで、今後の結果は大きく変わるかなと思い、実経験を踏まえ強く心がける必要があると感じました。