在宅ワークでのマネジメントの要点は? ②
「在宅ワーク下でのマネジメントの要点は何か?」
自身もリモートマネジメント歴たかだか2ヶ月の初心者であるにも関わらず、こんな大それた問いを打ち立ててしまいましたので、まず、4月16日から完全在宅ワークに突入した我がチームの成果の振り返りを行ないます。
私の部署は営業促進と対外PRを担ういわゆる企画部門で、セールスリード獲得のためのイベント開催やレポート配信、またそのためのリサーチなどを行ないます。
4-6月に行なった活動(イベントやレポートの本数)の量は1-3月のおよそ3倍。そしてその効果性(1コンテンツあたりのセールスリード獲得)はざっくり4〜5倍。すなわち、アウトプットの量も質も大幅に向上しました。
もともとの仕事の仕方(効率)が悪すぎたのでは?、と感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、その「もともとのやり方の悪さ加減」に気付いたことも大きな収穫の一つです。
このほかに担っている営業担当との同行による商談支援や、営業向けトレーニングが物理的にできなかった分だけ時間に余力があったことも事実ですが、無理やりのように始まった在宅ワークに早く適応し、比較的高い効果を出すことができたのではないかと思います。
では何故成功したのか。正直なところそれは判りませんし、様々な障害を乗り越えて頑張ってくれた3人のメンバーのお陰です。(うち1人は5月に行なったあるプロジェクトが評価され社内表彰を受けました)
よって、直接的な効果があったかどうかを抜きにして、私が行なったこと、心掛けたことを単に挙げてみます。
1)タスクリストの作成・吟味
在宅ワークへの移行を予測し、在宅移行への約1週間前に作成し皆で吟味。全員で取組むプロジェクトの他、各個人に共通のタスクと各人ごとのタスクやチャレンジを擦り合わせました。またこのリストには毎日の結果を書き込む欄もあり、さながら「日報」のような感じで運用しました。
2)毎日、朝夕15分ずつの朝礼・終礼
朝礼は、その日の朝のニュースや昨晩参加したコミュニティに関する話題から、穏やかに(ユルく)始まり、「今日何をやるのか」を私を含めてそれぞれが発表、ここでその日の「タスク」と「時間」に対するコミットをします。
また終礼では、今日予定していたタスクがどこまで進んだのか、また業務を通して入手した情報をお互いに共有し合います。外との接点が制限される中、自分以外の誰かが仕入れてきた外部情報は皆にとって非常に貴重です。また、予定していたタスクが完了しなかった場合は残業もあり得ますが、何をやるかが明確な“最低限の残業”にとどまります。
3)指導・指摘は個別に
終礼は私にとってはメンバーに一日の感謝を伝える場。もし指摘すべき点があったとしてもそれは別の場で個別に指摘します。また、指摘は「仕事の出来栄え」や「成果が出ていないこと」に対して行なうのではなく、『成果を出すための効率の良い時間の使い方を一緒に考える』というスタンスを心掛けました。
4)息抜きのススメ
基本的には朝礼・終礼以外は時間を拘束せず、または積極的な息抜きも奨励しました。「サボっていいよ」と言うわけではありませんが、終礼でその日自分が行なった息抜き(リフレッシュ)法を積極的に開示するようにしました。(月次の全社会議を近所の公園で散歩しながら聴いた話を打ち明けた時はさすがに怒られましたが)
5)意義を伝える
タスクリストによって、タスクと目標・成果を日常的に可視化する習慣がついた分、コミュニケーションは「意義・意味」を意識して行ないました。また自分だけが参加する経営陣とのミーティングがあった日は、そこで聞いた会社の状況や方針と関連付けながら、いま行なっている仕事の意義を改めて伝えるように意識しました。
6)出勤する目的を考える
6月に入り、営業部門が一気に「週3日のオフィス出勤」へとシフトしました。必然的に周りの目も気になりだし、実際に「出勤しないのか?」というような声も聞こえてきます。そこで行なったことは、「家でやることで効率が上がったこと」と「会社の方が効率が良いこと」の切り分けです。
最初は、「うまくいってるのだから一切出勤する必要はない」という意見が支配的でしたが、まず自分が出勤して感じた「PC操作の効率が劇的によい」という実感値を伝え、出勤しなければ得られなかった情報を積極的に伝えたことで、メンバーも必要に応じてオフィスに出勤するようになりました。
そこでわたしが伝えたPCの操作性などを実感したメンバーは、それぞれが主体的に「この仕事を行なうのに最も適した場所は自宅かオフィスか」という判断をするようになりました。
従って私は「出勤しろ」とも「出勤するな」とも一切言っていません。(この判断が正しかったかどうかは暫くしてみないと分かりません)
結論ーー
在宅ワーク下でのマネジメントの要点は何か? そのことに対する明確な答には行き着いていません。しかし、「教える、指示する」というスタンスを「ともに考える」に変えたことが重要だったのではないかと思います。
というのも、自分にリモートワークで結果を出した経験があったのならそれを教えることができたでしょう。しかし今回は自分にとっても初めての経験だったのでともに考えるしかありませんでしたし、考えるためには自分も一人のプレイヤーとしてメンバーと同じ目線に立って、高いパフォーマンスを発揮するためための試行錯誤をするしかありませんでした。
また、「結果かプロセスか」、「監視するか放任するか」「性善説か性悪説か」というような二元論で考えず、また「マネジメントできないこと」ではなく「マネジメントできること」に集中することが重要です。
これは、6月に入って「出勤させるかどうか」を判断する時の気付きです。
それは「出勤させるべきかどうか」という問いそのものが誤りなのであり、適切な問いとは「自宅(オフィス)でした方がよい業務は何か」、或いは「この仕事をするのに適した場所は自宅かオフィスか」だということです。
まだまだ先行きは不透明ですが、この2ヶ月間は私たちの組織を少しだけオトナにしてくれた、そんな2ヶ月でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?