人材流出の危機
本日(9/10)の日本経済新聞から、『企業の21%「人材流出」懸念、KPMG、世界のCEO調査』。世界のCEOの2割が、今後3年間の企業の最大のリスクを「人材の流出」であるとしているとの記事です。
グラフを見ると、コロナ前には1~2%だったその割合がコロナ後に大幅に高まっていることが判ります。
テレワークの普及によって、人が仕事や職場を選ぶ際に物理的距離の制約を受けにくくなることで人材獲得競争が激化する、という話は理論的には抵抗感なく受け入れることができますし、「ジョブ型」の進行によって自分の仕事に適切な“値付け”がなされれば、それに伴う転職やフリーランスなどの道を選ぶ人も出てくるでしょう。
新たな人材獲得や既存社員の繋ぎ止めには、デジタル化を進めてテレワークに適した職場環境を整えることが急務であることは間違いありませんが、現状では、働く側の適応に比べて、マネジメントの適応が立ち遅れている気がしてなりません。
テレワークを前提とした「新しい働き方」は、決してメンバーの工夫のみに依存するのではなく、マネジメントが目の前に座っていない相手に対して適切な指示、指導、評価ができる能力を磨かなければなりません。
非言語情報、すなわちお互いに感じ合うコミュニケーションが著しく制限されるテレワークにおいて、新時代における自社のビジョンや方針を踏まえた「望ましい仕事の仕方」を明確にし、ナラティブにそれを伝えた上で、適切な問いによって気付きを促したり、時に文章(メールやビジネスチャット)でテクニカルな指導を行なう。
「人材流出」のリスクに抗うために、管理職が個人レベルで取り組むべきことの一つに「言語能力の訓練」があるのではないでしょうか。
言語能力は一朝一夕に身に着くものではありませんが、「テレワークは生産性が落ちるので、、」という会話の枕詞(=思考の前提条件)をやめることは今朝からでもできるはずです。
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