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ワインに深入りしないワインの話(20)~ スパークリングだったらロゼが好きな紳士たち
毎度同じ話になるのですが、日本ではロゼは鬼門です。
初心者向け、甘い、男の飲むものではないというイメージが昭和の頃から累積していて、令和の今になっても抜けません。
日本ワインについての「おみやげ物」のイメージは、かなり払拭されたのですが、ロゼワインについてはまだまだです。
それなのに、スパークリングワインだけは、ロゼが売れます。
かのドンペリも、ロゼはピンドンという尊称で呼ばれ、銀座界隈では1本開けるとウン十万が、泡とともに飛んでいきます。
前振りが通俗的になりましたが、今回ご紹介するロゼのスパークリングは、質実剛健、内実の備わった1本です。
オーストラリアのタスマニア島で造る、ロゼのスパークリングワインです。
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ピノノワールが主体となっています。
メソード・トラデショナルですので、瓶内2次醗酵ということになります。
色合いは中位のサーモンピンクで、豊かな泡立ちです。
フランボワーズの高貴な香りが漂います。
丸みのある柔らかな口当たりです。
最初からバランスが取れています。
甘みのニュアンスやラズベリー系の果実感も最初の1口目から感じます。
味わいが深くて濃い目です。
チェリーの砂糖漬けのような風味も感じます。
それはそう感じるということであって、「甘い」ということではありません。
ワインの説明書きを書いているといつも思うのですが、少しでも甘いという用語を用いると、「甘口はいらないのに」という反応をお客さんからいただくことが往々にしてあります。
甘口とは一言も言ってなくて、甘みのニュアンスなのです。
ある著名なフランス料理の大御所のシェフから教えて頂いたことを思い出します。
美味しいってのはね、甘みなんだ。辛くしたければ甘辛く、塩気が欲しければ甘じょっぱく、酸っぱいものは甘酸っぱく、全部甘さが基本だよ・・・。
食事中の客席を回って、そのように力説していました。
言わずもがなですが、仕上りを甘くしてしまうのではなく、甘さの本体は隠すのですね。
これはワインでも同じことで、甘いワインではなく、美味しさの基本構成要素である甘みを隠し持っているということです。
だったら口に出して言わなければ過剰反応するお客さんも生じないのですが、「なんとXXを隠し味に使っています」という宣伝文句のように、つい口外したくなるのが宣伝の余計な側面です。
黙って座ればピタリと当るというのが占術名人の殺し文句ですが、名人だからお客が黙って座ってくれるのであって、そこに至るまでには口八丁手八丁、口角泡を飛ばすアピールを経ないとその地位は得られません。
泡を飛ばすでやっとスパークリングワインの本題に戻りましたが、甘みのニュアンスが岩盤のように分厚く下から支えているので、どんな場面で飲んでも本当に美味しいと感じます。
複雑な熟成香も感じますし、苦味も渋味もあって、総合的に非常に優れた仕上りとなっています。
酒言葉=盤石