ワインに深入りしないワインの話(6)~ 「シャンパン方式」がダメなら「ナントカ甲子園」はどうなの?
本日のお題は、イタリアの誇る高級スパークリングワイン「フランチャコルタ」です。
産地は州都にミラノを擁するロンバルディア州のフランチャコルタ地区です。
葡萄はシャンパンと同じように、シャルドネとピノ・ノワール(イタリア名:ピノ・ネッロ)を用いています。
イタリアには各種のスプマンテが全国で生産されています。
なかでも、ヴェネチアを擁するヴェネト州産のプロセッコが世界的に人気急上昇中で、たしかに清新・爽快で価格も穏当なので、日常用というか週末用にお奨めです。
そんな中にあって、このフランチャコルタの特徴は、古典的醸造方式=メトード・クラシコを採用していることです。
葡萄から普通にワインを造ったのちに、瓶の中でさらに酵母とその餌になる糖分を入れて2次醗酵させ、少しづつ瓶を回して酵母の死骸であるオリを取り除いていきます。
以前は「シャンパン方式」と呼んでいたのですが、シャンパーニュ委員会という圧力団体もとい商標権管理団体が、世界中の生産者に対して「シャンパン方式」という表示もダメだと強硬に攻撃を続けた経緯があります。
シャンパンに敬意を表してシャンパン方式と謳っているのに、それも認めないとは、商標権についての認識の強さというか、頑迷なくらい主張することが権利を権威づけるための行動様式ということなのでしょう。
このへんは、「居酒屋甲子園」や「ナントカ甲子園」を好き放題に開催されているのを看過している阪急阪神ホールディングス(の株主)に教えてあげたい話です。
ということで、冒頭の画像は甲子園駅を出発した阪神電鉄の電車(普通・梅田行)です。
さて、グラスに注ぎますと、十分パワフルな泡立ちです。
色は中位の小麦色で、麦わらのように黄色が強くはありません。
意外にも、柑橘系の爽やかな香りに、黄色いオレンジ系の柔らかく少し甘美な香りも混ざります。
レモンピールやオレンジピールのニュアンスというのは、シャンパンやプロセッコにはない系統の香りで、これは見事なかぐわしさです。
一口含んでみますと、最初から複雑さが充満します。
爽やかとか、スキッとしているとか、単純な一言では到底表現できません。
半干しの杏子、プルーンなどもからんできて、少し苦み走っていて大人びた味わいです。
複雑で奥行きが深いのですが、切れ味が良いために、ドぺ~と重くなることがありません。
とはいえ、軽快さより深淵さのほうが克っておりまして、かなり存在感のある味わいです。
魚や鶏料理全般に合わせられますけれども、シンプルな調理法よりも、ラザニヤ、ねっとり系のグラタン、チーズたっぷりドリアといった濃厚系の料理のお供が適任と見ました。
シャンパン様の価格が高騰を続けていますので、こちらのフランチャコルタのほうが、クリスマスに、年末年始にと、何かと出番が多くなると思います。
酒言葉:繁層