「深い河」で癒されてみて
小説を読むと、
実際に周りにはいないような人の
いろんな人生を追体験できていいですね。
没入感もあって楽しいです。
さて、今日は好きな小説に
ついて書きます。
わたしは全く文学おじさんではないですし、
文学少年でもありません。
ただ最近、大学時代に読んだ
遠藤周作「深い河」を読み
直したからです。
色々な背景を持つ5人の主人公が
聖なるガンジス河に行く話です。
学生時代、この本を読んだ後、
実際に卒業旅行でガンジス河に行き、
死体が焼かれる姿を見て、
ビビりながらガンジス河に入ったのは
とてもいい経験でした。
【あらすじ】
戦後40年ほど経過した日本から物語は始まる。
それぞれの業を背負う現代の日本人5人が、
それぞれの理由でインドへの旅行を決意し、ツアーに参加する。
聖なる河ガンジスは、すべての人間の業を包み込む。
5人はそれぞれに、人には容易に理解できない深い業を
持っていたが、偉大なガンジスにより
人生の何かを感じることが出来た。
(Wiki より)
いわゆる明確なストーリーはないのですが、
各人のエピソードがとてもいいんです。
【読んだきっかけ】
当時(今も)大好きな
宇多田ヒカルの「DEEP RIVER」が
発売された時に
「深い河」にインスパイアされたと聞いて
興味を持ったからです。
わたしは、この登場人物たちのように
重たい人生を歩んできたわけではないですし、
宗教観がとくにあるわけではありません。
先祖の墓参りだけはやっているタイプです。
【読んだ感想】
それぞれの宗教で神の捉え方が
違うことに悩み、神は宗教を超えて
守ってくれる絶対的存在と信じる大津
不器用に生きる大津を気にしながら
空虚感を抱いて生きている美津子
「死後、あなたの前に現れるから探して」
と「転生」を示唆して亡くなった
妻に会うべくインドまできた磯部
中国に生まれ、病気で生死をさまよいた
童話作家の沼田
(これは遠藤氏の経歴とも被りますね)
など
「バラバラ」の苦しい事情を抱えた
登場人物が、「混沌」を是として
包み込むガンジス河に集まることで
浄化されていく姿に、
ある種の癒しを感じました。
またその過程で、見ず知らずの人に
自分のつらい秘密を打ち明けていく姿を
読んで、やはり人間はつらさを抱えこんで
生きるのは難しい。
生きる時も、死ぬ時も1人だし、
結局だれも本当の自分のことは理解できないけど
人は孤独では生きていけないんだ、とも。
そして神や生死の在り方について、
宗教観の違いでモメる人間の難しさは、
日本人のわたしには到底理解できない、
ということも再確認しました。
ある考えによって救われた人たちは
それを「是」として考え、
ほかの考えの人たちを
攻撃するってことですね。
人は群れると、ほかの群れを
攻撃する本能だな、と。
そう考えると、仏教ってイデオロギーの違いで
テロや戦争がないという意味で超すごいですね。
(でも4大宗教の中では4番目でマイナー)
※1位キリスト教、2位イスラム教、3位ヒンドゥー教
【ガンジス河を歩いた記憶】
実際に旅行に行った時も
ガンジス河は、
すべてを飲み込んでいるような
印象がありました。
●特別な感じもするけど、
超日常でもある。生と死が一体化してる。
(死体が流されている横で、
沐浴したり、洗濯したりしてるので)
●聖なる場所なんだけど、
その横でぼったくりやタカりもすごい
(観光地なので。人間くさいところです)
など。
実際に死体が焼かれるところも、
子供がそのままの姿で流れている姿も、
3メートルぐらいの距離で見ましたが
あまり気持ち悪くなることもありませんでした。
その姿があまりに自然に見えたからです。
(焼かれる時は、棺桶もないので
焼かれる過程が丸見え)
ガンジス河に入った時の記憶は、、、、
正直、聖なる気持ちには
なれませんでした。
早朝で寒かったのと、やはり恐怖心が
あったからだと思います。
(うがいはできませんでした www)
でも、近くにいたインド人たちに
拍手されたのを覚えています。
あれから20年近く経ちましたし、
またコロナが落ち着いたらインドに
行ってみたいと思います。
「深い河」
ぜひ、機会があれば読んでみてください。
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