なぜそのブランドを選ぶのか?消費者の立場から考える、企業ブランディングの軸
「最高のホームをつくろう。」
僕が経営する工務店、株式会社あいホームでは、このブランドスローガンを中心に企業ブランディングに注力している。スローガンを生み出す過程で重要なのは、会社の内面に向き合い、社員に共通する企業価値を言語化することだが、ときには外部から着想を得るのも大切だ。
まずは、自分の好きなブランドに注目してみてほしい。なぜそのブランドを選ぶのか、理由を深掘りすることで見えてくる方向性があるかもしれない。
僕がブランドを選ぶ3つの基準
僕が愛用するブランドを例に、ブランド選びの基準を紹介する。
気付きを与えてくれたブランド
「い・ろ・は・す (I LOHAS) 」は、僕にブランドの本質を教えてくれた存在だ。
水が入ったボトルが並んでいて、全て100円の場合、ラベルが付いていないボトルと「い・ろ・は・す」のラベルが付いたボトル、どちらを選ぶか。間違いなく後者だ。
ブランドとは、意味だ。僕にとって「い・ろ・は・す」は意味のある商品だから自然と手が伸びる。
シンプルかつ本質的な気付きを与えてくれた、かけがえのないブランドだ。
共感できるブランド
企業ブランディングの活動を始めて以来、僕は気になるブランドのスローガンを片っ端から調べるようになった。商品の機能以上に、その商品を作っている会社の考えを知りたいと思うようになったのだ。
「Aer(エアー)」は、僕が大きく共感するブランドの一つで、トラベルバッグを中心としたアイテムを提供するブランドだ。
公式サイトの「Our Story」には、以下の文が書かれている。
出張の際、僕は決まってAerのリュック一つを背負って移動している。僕の旅のスタイルとAerの方向性が重なり、そこに共感が生まれたから今もAerを背負い続けている。
感謝しているブランド
MOBBY DICK(モビーディック)。このブランドに触れないわけにはいかない。
株式会社モビーディックは宮城県石巻市に本社を置く、ウェットスーツ日本シェアNo.1の企業で、ある時その会長を務める方と直接話す機会があった。寒さが厳しい冬にも海に潜る漁業者向けに、暖かいウェットスーツを作ったのがブランドの始まりだったそう。
その際に、石巻エリアでの不動産開発のヒントをたくさん頂き、会長には感謝してもしきれない。
だから、僕はMOBBY DICKでウェットスーツを作りたい。大きな買い物だが、他社と比較検討しようという気持ちに全くならない。
MOBBY DICKのウェットスーツを着ることに意味があるのだ。「人」への感謝の気持ちは、ブランド力につながるのだと知った。
ブランド提供者に視点を切り替えよう
気付きを与えてくれたブランド
共感できるブランド
感謝しているブランド
これが、僕がブランドを選ぶ基準だ。これは、ブランドを提供する立場に立ったときに、ブランディングの方向性を決める基準にもなり得る。
例えば、僕は住宅にかかわらず多様な業界の企業や人とのコラボレーションを実施しており、東北地域の「食」に関わる人が集う「KAMOSUBA」の運営もその一つだ。
コンテンツ設計の中心には、参加者に学びを提供したいという思いがある。学びや気付きを提供し続けることで、あいホームも僕にとっての「い・ろ・は・す 」になれると信じているからだ。
自分がブランドを選ぶ基準は何か? ぜひ考えてみてほしい。
編集/三代知香