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デザイナーの攻めと守り

デザインを「攻め」と「守り」に分類してみました。あくまでも持論であり、今後もアップデートしていきます。




デザインの分解

目的
O:顧客の課題解決
D:自社の課題解決

時間軸
O:短期 / 長期
D:長期

顧客との距離
O:直接
D:間接

デザインの意味
O:広義
D:狭義

効果
O:P/Lに効く
D:B/Sに効く

役割
O:体験を設計・改善
D:資産を積み上げる

職種
O:プロダクトデザイン、サービスデザイン
D:ブランドデザイン、コーポレートデザイン


各項目の解説

1:目的
解決したいのは顧客課題か自社課題か。目的の違いがあると考えます。施策によって異なる場合もあるでしょう。ユーザー数を増やすことも、自社事業の課題であると定義します。常に目的思考で「何のためにデザインするのか」を自身に問います。

2:時間軸
どのような時間軸で利益に寄与するのか、で判断・分類しました。顧客課題は目の前の問題を探索し仮説を積み上げていく事が重要です。短期的な成果は多くの企業で求められるでしょう。一方、ブランディングは長期的に資産を積み上げていく活動です。運用保守のような長期視点で基礎体力を築いていく作業は軽視出来ません。

3:顧客との距離
顧客への関与は直接的か間接的か。顧客の現場に足を運ぶサービスデザインは直接的なアプローチです。最も近い位置で潜在的課題を探索します。一方ブランディングやマーケティングなどは物理的に遠い距離から、製品と組織の魅力を広範囲且つ戦略的に伝え続けることが求められます。

4:デザインの意味
広義か狭義か。少し簡素化すれば「広義=設計する」「狭義=つくる」といえる。双方のデザイン領域を行き来することがデザイナーの価値です。一方を研磨し熟達していくことで、もう一方の領域への貢献度は向上します。異なる領域を越境することで双方の成果を最大化させます。

5:効果
こちらはGoodpatch土屋さんの記事より引用させていただきました。
“デザインの施策には、短期的な足元の事業課題に効くP/L的な施策と、中長期で効いてくる資産性のあるB/S的な施策があります。事業フェーズごとに何のデザイン施策が今重要かという判断軸を持つことが大切です”
その他:決算書についての過去記事

6:役割
実行における役割・意義をそれぞれ心に刻みたい。広義として顧客体験を設計することは、定量定性の関係を理解し重要指標へと繋げていく役割だ。狭義として企業らしさを創出し積み上げていくことは、企業資産へと繋げていく役割だ。デザインアセットを生み出し数年活用する。その長い期間に惹起・蓄積される知覚品質を重要視しないという選択肢は無い。


領域を分断する高い壁

大きく分けたこの2領域は、同様の性質を内包していると考えています。しかし、デザイナーが感じている各領域とそれらを分断している心理的な壁は、あまりにも高い。

双方が相互補完的に交わり強い力を発揮することは間違いない。一方、それが理解出来ていることと、自身がその領域を越境することは、全く別次元の話といったニュアンスである。

何処かの領域に尖る必要性は高いと思う。しかし、全体を俯瞰的・相対的に捉え、他領域を探究・探索していく時間を設けることは、デザイナー自身の生存戦略に深く関わっていくだろう。


総論

攻め・守りという分類をしてみました。事業貢献を短期的に実現しにいく活動を「攻」、自組織の価値毀損を防ぎ資産を積み育てていく活動を「守」と捉えた論です。これは、分類することで壁を明確にしたいわけではなく「攻めと守り、両方が必要だ」というのが私の意見です。

自身の役割が攻の場合「守の役割や能力への理解が必要無いか」という問いに対する答えはNOとなります。例えばスポーツの世界でも攻守の能力は必須です。マイケルジョーダンは、得点王10度受賞など攻撃力に焦点があたる事が多い。しかし、オールディフェンシブファーストチームにも9度選出されており圧倒的なディフェンス力を有していました。(少し遠い世界との類推ではある)

つまり「両方の能力が重要である」ということ。デザイン領域のみに留まらず、あらゆる領域を行き来しながら一方の能力をもう一方の領域へ活かす。それがデザイナーだけが持つ価値でしょう。引き続き、思考を重ねながらアップデートしていきたいと思います。




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