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表層デザインを軽視しない

「表層的なデザインだけではなく…」よく耳にするデザイナーの言葉です。私は長らくこの言葉に違和感をもっています。




1, 2, 3を「戦略」、 4, 5を「表層」とする


表層を軽視している

「表層だけではなく…」という発言は、あたかも表層だけを担うデザイナーが周りに居るかのように、そしてそれを軽視・否定しているかのように聞こえます。表層(見た目)を軽視している言葉です。

対して私は、「表層だけを担うデザイナー」はそもそも存在しないと考えています。なぜなら、表層と戦略は共創する関係であり、双方の調和がなければ良いデザインは生まれないからです。繋がっています。

美しく優れたデザイン。その美しさの理由は、戦略という土台が組み上がっているからだといえます。表層のみ美しいデザインはそもそも存在し得ない。デザイナーが戦略を策定・理解・伴走していなければ、美しく機能する表層は生まれていないでしょう。


分業による表層

1〜5どの段階からプロジェクトが始まるにしても、コンテクストの把握が必要です。目的・課題・構造・実現したい世界…などを理解しなければ、表層をつくることは不可能です。骨格となる戦略とそれに付随する思考を咀嚼できてこそ、表層デザインが機能します。

一方、表層はディティールの追求に時間を要します。よって個人が、戦略から表層までを一貫して遂行する事は、時間がかかり過ぎる場合がある。

そのため、制作部隊内でも分業の必要性が生まれていき、「自分は表層だけではなく(戦略も担える)」という反発する思考が浮かび上がってしまうのかもしれません。


求められる価値を否定しない

表層を否定する発言は「表層を軽視している」と解釈される可能性があります。表層の軽視によって、表層を担うデザイナーの存在を無意識に否定してはいないでしょうか。

「表層だけではない」と周りに理解を求めたい気持ちも分かる。しかし、他者から表層が求められていることも事実です。自分の価値を否定してはいけない。そして周りの優秀なデザイナーを否定してはいけません。

美しい表層デザインを生み出すデザイナーに敬意を表します。なぜなら、表層が戦略を土台にしている以上、表層を否定することは全てを否定することに繋がっていくからです。


他者比較による自己評価

さらに、表層を否定する発言は、「自分が創る表層は完璧である」というメッセージとして解釈されてしまう可能性もあります。自分は当然出来ているという前提のもと、他デザイナーと比較している発言です。

「自分が創る表層デザインは完璧だろうか」という自問自答に少しでも迷いが生じるのであれば、表層の否定は避けたほうが良いでしょう。

今一度、表層の意味を深く考える。なぜ、表層が生まれるのか。表層の成り立ちを理解できていれば、軽視・否定する発言には至らないと思うのです。外側を美しくするには、内側から美しく。軽視してもいいプロセスはひとつも無いのです。


まとめ

「他者から軽視されたくない」という想いが、逆に自分の領域を軽視する発言になってしまっている。そこに気付くことです。

如何なるプロセスも否定することなく、自己も他者も否定することなく。ただ、自分を進化させることだけに向き合いましょう。

表層は、感情にはたらきかけるという「機能」を有している。課題発見から表層までの全体を「戦略」と捉え、デザインとそれ以外、全てを調和させ研ぎ澄ませていきたい。




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