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なぜ感情は動くのか

『ルックバック』の感想が溢れています。
- 感動した、泣いた
- 素晴らしい作品
- 出会えて良かった


なぜその感情が生まれたのか。なぜクリエイティブに触れることで人は感情が動くのか。デザイナー視点で考えてみたいと思います。




感情を動かしたい

漫画・アニメ・映画をつくっているわけではありませんが、我々デザイナーも「ものづくりの人」です。

デザイナーも多くの人の「感情」を動かしたい。感動してほしい。素敵だと感じてほしい。そして「行動」を生み出したい。

いつもそう願いながら、自分自身の感情が動くクリエイティブ、且つ届けたい方々の感情も動くクリエイティブを目指しています。


なぜ感情は動くのか

メッセージ → 感情 → 手段

我々は作り手である以上、「なぜその感情は動いたのか」を考える必要があります。その感情に辿り着くためのプロセスを言語化しなければならない。

逆算です。自身が作り手の場合、それができなければ「感情の動き」を生み出すことはできない。なぜなら我々が何かをつくり出そうとする段階では、当然「ゴール」が見えてないからです。

まだ何も無いところから具体を創造します。どのようなものをつくるのか。どのような表現でつくるのか。そして、ゴールである「感情の動き」=「どのような気持ちになってほしいのか」を言語化する必要があります。


シンプルで純粋でポジティブな感情

ゴール(最終アウトプット)でどのような感情になってほしいのか。受け手のそれは漠然としている。感動した。幸せな気持ちになった。面白かった。かっこいい。可愛い。驚いた。安心した。あの部分が良い …など

人は何かを感じる。受け手であればそれで良いのです。ものづくりを生業としていない方が「なぜ私はこの感情になったのか」などと深く考える必要はない。そして実際考えない。それが普通です。

何かに見て触れた際の「シンプルで純粋でポジティブな感情」を生み出したい。その感情を言語化しなければ。


伝える相手と、そこに存在する意味

そして、生み出したい感情を「誰に、何を大切にして、どのように伝え、どのように表現するか」も同時に考えていきます。伝えたい相手「どのような人へ届けるのか」の解像度は最も重要です。

人はそのものに内包された「メッセージ」に共感している。「意味」です。なぜこれがここに存在しているのか。その存在意義は何か。その奥底にある哲学は何か。活動の意思は何か。

これは「人の魅力」と全く同じだと考えます。その人は何のために存在し、何を大切にし生きているのか。何を叶えたいのか。なぜその行動をとるのか。過去にどのような経験を乗り越えてきたのか。

これまで積み上げてきた揺るぎない意思・対峙する問題・孤独・葛藤・希望・達成すべき未来。あらゆる魅力を受け、感情が動くのだと思います。


的確に適切に届ける責務

企業としては、そのメッセージ「MVV」が根幹にある。それは取り繕うものではなく、あのままの魅力、存在そのもの、生き方、在り方、ビジョン。それらが常にクリエイティブの裏側に佇んでいる状態こそが理想です。

表層に浮かび上がるデザインは、核となるメッセージを的確に届け、感情を動かし、行動へと繋げる責務があります。見てもらい、選んでもらい、適切に伝えたい。日々、そのような想いでデザインを生み出しています。

つまり、コアメッセージの「顔」となり「入口」となって、ターゲットを迎え入れる重要な役割を、当然のように担っているのです。よって「なんとなく形になっていれば良い」というレベルの話では全く無いのです。


編集的思考による解釈の設計

1:最終の表現、2:コアメッセージ、3:伝えたい相手。それらを、適切に「編集」する。その編集的思考によって、受け手の「解釈」を設計します。知覚品質という言葉通り、1で惹き付ける力は意識したいところ。

伝えるという作業は、文章であってもデザインであっても非常に難しい。私は常に「中間」を目指してデザインしています。(この「中間」という思考はまた別の記事で書きます)

そこには、「受け手が伝えられたいことを、伝えられたいように設計する」という編集と、「伝わる情報量を調整する」という設計があります。


まとめ

ルックバックがなぜ感情を動かしたのか。その理由を言語化することは可能ですが、あくまでも受け手側である私個人の想像になってしまうため、ここでは書かないことにします。

しかし、作り手側として何かをつくる際には、手元にまだアウトプット(ゴール)が無い状態からスタートしますから、やはり言語化は必須だなと。そのように考えこの記事を書きました。

そして言語化とは、協業する相手が存在するからこそ必要になるもの。1人で自分だけの作品を作る際には必要ありません。よって、多くの仲間と1つのゴールを目指す際には欠かせないプロセスでしょう。




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