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ブランドのつくり方を、真剣に考えてみた

株式会社アンドパッドでアートディレクターをしている太田です。
先日、こんな質問を受けました。

「ブランドってどうやってつくるんですか?」

私はこのとき、自分なりの回答ができませんでした。
事業会社の内部からアートディレクターとしてブランドをつくっていく、その方法について言語化する必要があると思いました。

今回は、企業のブランドは誰がつくるのか・つくる方法・そのとき「デザインの役割」は何なのか、について書いてみたいと思います。



1. 社員がカルチャーをつくり、ブランドをつくる

まずは「誰がつくるのか」の話です。

ブランドとカルチャーの関係性

中央にいる人のイラストが「社員」です。
会社に所属する社員はMVV(Mission、Vision、Value)に共感し、それらを体現するために日々業務に取り組んでいます。
次に、MVVを体現しようとする社員一人一人の言動・姿勢・考え方…それが「カルチャー」になります。これは「行動指針」として言語化が必要です。
そして、カルチャーを体現した社員一人一人が「ブランド」をつくっていきます。

つまり「社員」を大切にすることが事業成長・組織文化形成に繋がり、またその「社員」がブランドをつくっているということです。

上記の話はこちらの書籍を参考に私なりの解釈で考えてみました。


2. ブランドアイデンティティとブランドイメージ

つぎに「ブランドとは何か」「ブランドの伝わり方」です。

ブランドを発信する

ブランドとは、製品、デザイン、プレスリリースやSNSによるメッセージ、営業活動、採用活動…など、企業活動すべてであると考えています。
顧客や世の中の人たちは、それらから感じとる包括的なイメージを「企業らしさ」「ブランドイメージ」として頭の中に記憶します。

であれば職種問わず「社員全員でブランドをつくっていく」という意識、一人一人が「自分の言動や業務が自社のブランドをつくっている」という意識を持つことがとても大切だと思います。

「ブランドとは、お客様の頭の中にある」

これはよく聞く言葉で、とても重要です。
自社のブランドアイデンティティを言語化し対外的に発信しても、顧客や世の中の人たちに伝わっていなければ意味がないですよね。
顧客や世の中の人たちに伝わっているイメージを「ブランドイメージ」と呼びます。私は「ブランドアイデンティティ」と「ブランドイメージ」が一致する世界を思い描きながら、日々ブランドを発信しています。

その2つを一致させる事に大きく貢献するのが「ブランドデザイン」です。


3. ブランドデザインの目的

ここからは「ブランドのつくり方」です。
ブランドをつくるために「社員」の一人であるアートディレクターとして、何ができるのかを考えていきます。
まず、ブランドデザインの「目的」は何でしょうか?

ブランドデザインの目的


目的は大きく2つ、インナーブランディングとアウターブランディングです。

●インナーブランディング
社内のコミュニケーションが活発になるように、Value軸の社内施策を設計したり、ノベルティを活用するなど、社員がカルチャーを語るシーンを増やします。そこにデザインの力を投入し、より魅力的・視覚的・感覚的にカルチャーを受け取れるコミュニケーションを目指します。
(最終的に)
社員のエンゲージ向上。自社を友人に「推奨」(リファラル)する。

●アウターブランディング
マーケティング戦略における各種施策やブランディング施策です。対外的に発信する様々なアウトプットがブランドイメージを築いていきます。「あの企業と製品よく知らないけどなんか良さそうだな」と思ってもらうために、デザインの力で知覚品質(Perception)を高めていきます。
(最終的に)
購入いただき顧客満足度向上。製品を他社に「推奨」していただく。



顧客の頭の中にブランドイメージを築いていくのであれば、対外的なアウターブランディングだけで良いのではないか?….と考えてしまいそうですが、先述したようにブランドは「社員」がつくっていくものなので、まずは社員全員がカルチャー(MVV)を体現している必要があります。

カルチャー、ブランド、製品開発、顧客との信頼、採用、営業、サポート、労務管理、財務経理… 全て「社員」がつくっています。クリエイティビティを持たない職種はこの世にありません。
CXを実現するために「社員」を大切にする。EX(Employee Experience)の重要性を、事業会社で体感しました。


4. ブランドデザインの目標・手段

目的を達成するために「目標」と「手段」が必要です。
私なりに全体像の図をつくってみました。

ブランドデザインの道のり


●目標

ブランドアイデンティティやデザイン原則を言語化し、デザインするための土台づくりをします。VIが「一貫性」あるアウトプットとして形成されるために、企業の源泉となるアイデンディディを言語化します。ブランドアイデンティティプリズムというフレームワークを用いて作成し、それをCIを形成する円形のコアに入れ込みました。

ブランドアイデンティティプリズム
デザイン原則策定(過程)


●手段

ブランドデザインを実行します。ここではブランドエクイティピラミッドと、ブランドコミュニケーションを挙げています。

ピラミッドについては羽田康祐氏の著書「ブランディングの教科書」を参考にしています。このフレームワークはカスタマージャーニーとしても有効ですが、「手段」としては、知覚品質を向上させる手段と、ブランド向上のための提供価値についてが本に書かれています。(詳しくは割愛)

最後のブランドコミュニケーションは私の体験から得た考え方です。下の図のように、デザインがあらゆる部署と横断的に関わることで「一貫性」が生まれ、ブランドが醸成される手助けをします。「一貫性」は見た目の話だけではなく、社員の意識・施策の温度感・企業人格….などに影響します。

ブランドコミュニケーション


5. まとめ

ブランドのつくり方、アートディレクターとしてブランドづくりにどのように貢献するのか、デザインの目的・目標・手段….これらが正解というわけではなく、実践していく中で常にアップデートしていきたいと考えています。ですが「ブランドは社員がつくる、社員を大切にする」これは間違いないと思います。社員全員でブランドをより良いものにしていこうという意識が大切です。

ブランドは球体である
どこから見ても同じ形である球体をイメージすることで
ブランドの透明性を示し、信頼を得ることができる。

米田肇 氏(宣伝会議より)

今後も「球体」をイメージしながらブランドをつくり、
常にアップデートしていきます!



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