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「もし何かあったらどうするんだ」という国民性がもたらしたもの

連日暑い日が続いている。

そしてそれとともに、マスクをしている人を周囲でほとんど見かけなくなった。

身の回りでも3月の個人の判断になってから徐々に外す人が増えて、今はマスクをしている人が珍しい状態。

昨年や一昨年と比べて外部環境や状況が何も変わっていないはずなのに、コロナ騒動もほぼ過去のものとなった。

マスコミが5類となって報道量を減らすだけで、ここまで収束に向かう事を考えると、メディアは洗脳装置としては抜群の効果をまだまだ発揮していることがよくわかる。

そして「毎日何人が感染」という報道が無くなることによって、人々の心からほとんど消えていった。

たまに放送で「クラスターが発生」がという報道があるものの、正直なところ人々の関心はかなり薄い印象を受ける。

どちらかというと日々のインフレ、大雨による洪水、芸能人ニュースのほうに目が行きがち。

放送する内容によって関心事が変わり、あったこともなかったように忘れ去られていく。

こうして気が付いたらなかったかのよう終わっていく、なんとなく個人的に思い描いていた通りの終幕に。








今回の一連の騒動で顕著に見えてきたものは、「もしなにかあったらどうするんだ」という、あらゆるリスクに関して徹底的に排除しようとする国民性。

それは良い方向にも悪い方向にも機能する。




世界であっという間に消滅したコロナ習慣が、日本ではずっと尾を引いている背景には「なにかあったらどうするんだ」という心があった。

例えば子供が無症状で高齢者を感染させたら、どんな責任をとってくれるのかという心。

わずかなリスクに対しても、徹底的に排除しようとする姿勢。

少しでもマスクから鼻を出していたら、徹底的に注意する。

布は効果ないとして、こちらも排除。

マスクをしない人はそもそも論外。

場合によっては飛行機や電車を降ろされることも発生。

正義執行として、従わない人に対する容赦ない言葉の暴力や傷害事件も。

他にもワクチンを打たない人がコロナを広げて他の人を感染させたらどうするんだという圧力。

他県のナンバープレートを排斥する姿勢。

県内一人目の感染者には、大きな制裁を。

視野の狭さがもたらす「何かあったらどうするんだ」は、さらに人々を窮屈な方法に追い込んだ。

そしてリスクを少しでも減らすためにという、視野の狭い中で見えていないより大きな財産を失うことになった。

今では人の表情を認識できない特定の世代が出来てしまったり、通常の学生生活を楽しむことなく終わってしまった世代が出来てしまった。

その時しか味わえない貴重な時間を失ったこと、その大きさは計り知れない。

そしてそのことに気が付くことがないように、次々と色々な話題が提供されては消えていく。

そして残念ながら反省することは決してないため、おそらく同じことは近いうちに繰り返される。








一方で「なにかあったらどうするんだ」という心は、過去に完璧な製品を生み出す原動力にもなっていた。

リスクを徹底的に排除しようという姿勢は、完璧で品質が非常に高い製品を生み出すという面では非常に役に立った。

日本メーカーが作る品物の品質がどこまでも高くなっていったのも、この心があったおかげ。

テレビや冷蔵庫などの家電、自動車製品やその他のあらゆるメイドインジャパンは、徹底的にリスクや無駄を排除した結果が生み出した結晶。

ほんのわずかなリスク・無駄に対しても、徹底的に排除しようと姿勢が完璧を生み出す。

その結果故障も少なく、長持ちする。

ナショナル製品は60年以上たっても元気に動いているものもある。

まさに99.99を100にする能力が、信頼というブランドを生み出す。

今では過去に比べると品質は維持されていない面もあること、そして身の回りの製品の多く海外のものが多く占めているものの、まだまだ品質を取る場合は多少高くてもメイドインジャパンを選ぶ人が世界中にいる。

このように、「なにかあったらどうするんだ」という心は、良い方向にも働いていた。






「なにかあったらどうするんだ」という心がもたらした、2つの真逆の効果。

国民の性質がとても色濃くわかりやすく出たという意味で、コロナもメイドインジャパンも、とても良い事例になる。

そして「なにかあったらどうするんだ」精神が多くの国民が持っている性質である限りは、同じようなことはこれから何度も繰り返される。

なぜなら既に2度の悲惨な戦争で学んだはずのことが、全く応用されていない状態でほとんどの人が過ごしているから。

ほとんどの場合は反省して変わることはなく、仮にされていたとしても、世代が入れ替わることによって、忘れ去られる。

この特有の性質について、もちろん良い・悪いはない。

だがこの国に住む人間が身に付けてきた性質というものをより認識したうえで、今後どのようなことが起きた場合にどうなる可能性が高いのかというのを、常に個人としては常に考えておく必要はあると思う。

「なにかあったらどうするんだ」によって、時間をこれ以上無駄にしないようにするために。








ありがとうございました。

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