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「おかしさ」とは、心情に麻酔をかけること。ベルクソンもそう言ってる。

最近つくづく感じるのは、「おもしろさ」とか「笑い」に対する捉え方が、個々人によって大きく異なっているなぁ、ということだ。

先日、こんなツイートをした。


ここで引用してるのは、ざっくり言うとこういう話。

・オックスフォード大学の学生だったスー・ブラックモアはマリファナで神秘体験をしたのをきっかけに、心霊現象を研究するようになる。

・博士号を取った研究テーマは「子どもにテレパシー能力があるか」である。(なかった)

・その後も「LSDで超能力が高まるか」(高まらなかった)や「タロットカードで未来が占えるか」(占えなかった)などを検証。

・25年間これを繰り返し、結局「心霊現象などない」という結論に達した。彼女は心霊現象の懐疑派になった。

超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか』Kindle位置1119-1123


めちゃくちゃおもしろい話である。「そんなことあるんだ」と衝撃を受けた。一般に、スピリチュアルにドハマりした人は客観的なデータの積み重ねで考えを改めることは少ない。

このあたり、『ルポ 人は科学が苦手』などを読むと詳しく解説されているのだが、科学的な現象を信じない人に対して客観的な証拠を突きつければ突きつけるほどかえって信じなくなるという地獄のような検証が紹介されている。

ということで、「25年間アカデミアで精緻に検証した結果、心霊現象は実在しないと考えを改めた」みたいな事例は非常に珍しく、とても興味深い現象である。

また、その過程もめちゃくちゃおもしろい。「テレパシー能力の有無を調べる論文で博士号を取れるんだ」という驚きもあるし、「色々な心霊現象の実在性をマジメに実験したんだ」という驚きもある。そしてことごとく「実在しなかった」という結論になるのも実におもしろい。人間らしいおかしみに溢れた話だ。

そういう意味で、僕は心からの称賛の気持ちとして「おもしろすぎる」とツイートしたのだが、これが一部の人には受け入れられなかった。

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