「宗像大社 中津宮」の神威が今尚生きている「宗像大島」(2024年春夏クルーズ4日目)
2024年5月30日木曜日、朝一番で「Windy」で風予測をチェックした。昨日とほぼ変わっていない。このままなら、「新門司マリーナ」を出て「関門海峡」を通過する際には、東の風5m、潮流は連れ潮4ノットということになる。混雑しているこの海峡を余裕を持って通過、昨日訪れた陸側を海から観察できるであろう。
「新門司マリーナ」出港の前には、念の為の給油もしておいた方が良いと考え、新設されたビジター桟橋に着けた。そこで気づいたのは、桟橋は新設されたものの、給油ステーションの位置は前と変わっていないこともあって、相変わらず2m陸側は埋設石による浅瀬だということだ。これは注意を要する。干潮の時の注意は尚更だと思う。そんな事を思いながら、300Lを入れて満タンに戻した。
給油後10時、40マイル先の「宗像大島」を目指した。予報どおり、途中の海況は穏やかでこのまま一気に「対馬(厳原)」も目指せる状況にあったが、昨年の単独航海とは違い、今回は副長と一緒なので当人の疲れも考慮して計画どおり「宗像大島」に入ることにした。
「宗像大島」には海の駅があり、専用の浮き桟橋、水道、シャワー、トイレがきちんと整備されて、ビジター艇を受け入れてくれる。この桟橋に船を着けたのは、11時50分、40マイルを1時間50分で走り抜けた。利用手続きを済ませ、早速、「宗像大社中津宮」に足を運んだ。
「宗像大島」は、筑前漁場と呼ばれる豊穣な海に囲まれていることから、漁業が今直盛んなことである。漁港を訪ねれば立派に維持されており、そこに連なる漁船もキチンと整備され、遊漁船はピカピカな新鋭船が目についた。おそらく、ここでの漁獲は九州最大の都市である福岡に出荷され、近いが故に鮮度が良く商品価値も高く扱われるのであろう。
島自体は、小高い森林や原野が多く、全体が「宗像大社中津宮」の鎮守の杜のようにも見える。民家は福岡からのフェリーが着く南側に集中しており、人口は約700人と聞く。福岡経済圏故か、あるいは「宗像大社」の神威によるものか、社会資本、観光資本整備のための投資が長期にわたって続けられていたことが散歩をしていると良くにわかる。
しかし、それはビジター目線ではなく在所住人の福祉的目線で設置されたようだ。だから、集落ごとの各種観光施設の展示場のようであり、それが残念といつも思う。例えば、散歩中5箇所もきれいなトイレがあったが、皆バラバラで一つ一つは良くても全体としては落ち着かない。1時間の散歩で目まぐるしくデザインの変わるピカピカのトイレに遭遇すると、何故か落ち着かなくなる。
いつも訪ねる宗像漁協直売所の店舗名が「さよしま(小夜島)」というので、何故だろう?と前から思っていた。そこで今回、改めて訊ねてみたところ、「小夜島」という島が近くにあるという。早速訪ねて撮った写真が上記の写真である。直売所から歩いて5分のところにあった。岩の上に松が生え、大きな盆栽にも見えなくはないが、その前に朱色の鳥居が建つことで、神々しい感じに印象が変わる。この配置、いかにも日本的である。とにかく日本人はあらゆるものに神(自然神)が宿ると考え、特に畏敬の念を感じさせるものは御神体、あるいは神の依代と考え傾向が縄文の時代からある。結果、「鳥居」や「しめ縄」後世になると「拝殿」を設けて、神を畏怖するのである。誠に日本特有の自然神信仰の現れである。散歩のコースがわかるように、観光案内看板の写真を掲載しておく。
ちなみに、この島では、食料、飲料の販売所、夜の居酒屋等は無いので、毎度船中居酒屋開催となる。我々は、風もないので、アフトデッキでの焼肉ディナーに興じた。