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リスタートの質と速さ!

 今回は「リスタートの質と速さ」というテーマでお話させていただきます。
 プロの試合を見ていると、近年リスタートの「質」と「速さ」がものすごくレベルアップしていることを感じます。リスタートを素早く行うことができれば、守備陣形が整っていない状況で攻撃に行くことができます。
 例えばゴールキック、ひと昔前まではディフェンスラインが上がり、ゴールキーパーがボールをセットして蹴るのが主流でした。ですが、近年はゴールキックも素早く、相手選手がシュートを打ってゴールラインを割ったら、すぐにリスタートすることも増えました。テレビ中継だと、シュートシーンのリプレイ映像が流れます。リプレイ映像を流す時間があったのですが、最近はその時間さえありません。リプレイ映像の間に、ゴールキックがショートパスで再開していることが普通にあります。
 バルセロナのゴールキーパーであるテアシュテーゲン選手は、ゴールキックでアシストを記録しています。マンチェスター・シティのエデルソン選手も同じです。相手の守備陣形が整っていないうちに、ワンステップでライナー性のロングボールを蹴ることができるゴールキーパーがいれば、カウンターアタックを成立させることができるのです。

 コーナーキックのショートコーナーは、この10年で主流になりました。スローインも、ここ数年リスタートが速くなっています。

 ただし、全てのリスタートを速くした方が良い訳ではありません。これも有名な話ですが、リバプールにはスローイン専門のコーチがいます。リバプールでスローインの研究をした結果、ロングスローに時間をかけて選手配置をすれば、ゴールの確率が高くなることがわかりました。これは、リバプールのデータですが、リスタートに時間をかけてセットすると良い場合もあるのです。つまり「リスタート=速くすれば良い」という訳ではないのです。
チームや状況によって、正しい判断をしないといけないのです。

 原則、リスタートが速ければ、相手は準備ができません。受け手がすぐにボールを受ける準備ができるのであれば、即リスタートしたほうが良いです。ロングスローも、セットでき次第投げる方が良いです。ロングスローに時間がかかるのは、投げるのが遅いからではなく、受け手の準備に時間がかかるからです。フリーキックやコーナーキックでも、速ければ速いほどゴールの確率は高くなります。間違った判断でリスタートしても、チャンスにはなりません。ですが、速さは第一優先すべきです。なぜなら、速ければ間違った判断でリスタートしても、ボールさえ奪われなければ、その後修正する時間があります。誰かがボールを受けて、正解の方にボールを動かすことができます。リスタートが速ければ、時間の余裕ができます。遅いと、正しいところに投げても、相手の守備陣形が整ってしまえば、チャンスにはつながりません。

 最後になりますが、どれだけ速くてどれだけ判断が良くても、質が悪ければチャンスにはつながりません。これも注意が必要です。まとめると、リスタートはまず「速さ」、次に「判断」、次に「質」という順で考えていくと良いでしょう。
今回は、「リスタートの質と速さ」というテーマでお話させていただきました。
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