味方へのコーチングの質
今回のテーマは「味方へのコーチングの質」についてです。サッカーがチームスポーツである以上、コミュニケーションはとても大切です。ヨーロッパのプロリーグの試合を見ていると、観客席まで聞こえるような大きな声で選手たちがコーチングしています。組織的に動いてゴールに向かうためには、コーチングが必要なのです。
日本でも、小学生の世代でも試合の中で声を掛け合ってプレーする姿をよく見ます。子供たちを指導している監督やコーチも「声を出せ」といった指示をよく言います。ここで注意しなければならないのは「何のために声を出しているのか」です。「何のために声を出しているのか」で、その内容や質が変わってきます。正直、子供たちを指導している監督やコーチのコーチングを聞いていると「何のための声を出しているのか」がよくわからないことがあります。
例えば、「しっかりしろ」「何をしているのだ」みたいな言葉は、コーチングではありません。ただ、監督やコーチからの指示と、選手同士のコーチングは全く別のものなので、今回は選手同士における「味方へのコーチングの質」について話したいと思います。
まず、コーチングは、大きく分けると2種類あります。
「認知を助けるコーチング」と「判断を矯正するコーチング」です。認知を助けるコーチングとは、「不安」とか「ディフェンスが来ている」とか「右サイドが空いている」とかです。
判断を矯正するコーチングとは、「ヘイ!」「パスを出せ」「逆サイドにパスをしろ」「シュートを打て」とかです。
これは、どちらが良いとかどちらが悪いとかは無いのですが、状況によって間違いがあります。誰が言うのかよっても間違いがあります。
「判断を矯正するコーチング」は、言われた選手の思考を停止させます。他人が判断した通りに動く、つまり実行するというのは、思考がない状態を作ってしまうのです。頭と体がつながっていない状態だと、うまく実行ができません。「どうしてこのプレーをしているのだろう」という疑問が残ったままでは、うまくプレーできません。
「判断を矯正するコーチング」をする選手は、自分が正しいかのように声を出しますが、その選手が認知や思考で間違っていることもあります。少年サッカーや、社会人サッカーといった地域でのクラブに所属している選手たちは、「判断を矯正するコーチング」をすることが多いですが、チームの戦術をまだ理解していない選手が思考して、判断した選択肢は、間違っている可能性が高いです。ただし、これは選手だけが悪いのではなく、この選手を育ててきた指導者や日本サッカーに罪があると思います。これまで「認知」や「思考」について、この選手は一度も教えてもらったことがない可能性が高いです。コーチングには2種類あることも聞いたことがないと思います。
コーチングの質を高めるための練習をしているクラブチームや、スクールなんて本当に少ないと思います。チームに加入したばかりの選手ではなくても、間違った考えになってしまっている選手はいます。どんな間違いかというと「ボールを持っている選手=認知レベルが下がっている」と考えてしまっている間違いです。
この考えが強くなると、「判断を矯正するコーチング」をしてしまいがちです。例えば「早めにパスをしろ」「もたつくな」みたいな声です。実は、ボールを持っている選手が、しっかりと認知をしていて、相手ディフェンスを惹きつけるためにドリブルしているといった可能性もあります。つまり、ボールを持っているからといって、認知レベルが下がるわけではありません。しっかりと首を振って周りを見ていれば、ボールを持っていない自由な選手より、たくさんの情報を持っている可能性は十分にあります。
より良い思考をするため、より良い判断をするためには、たくさんの情報が必要です。味方選手に、今必要な情報をあげることができれば「認知を助けるコーチングの質が高い」と言えるでしょう。味方へのコーチングの質も、サッカー選手としての重要な能力です。「どんな情報を与えたほうが良いのか」を考えて、無駄のないようにコーチングすることを心がけましょう、という話でした。
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