リモートワークにおける雑談の重要性。様々な可能性は雑談から生まれる。
新型コロナウイルス対策によって、社内の勤務体制をオフィスワークからリモートワークに切り替えた企業の方も多いのではないでしょうか。
オフィスワークとリモートワークの違いは様々ですが、オフィスワークからリモートワークになって失われてしまうものが一つあります。それは、雑談です。
雑談は相談のきっかけになったり、場合によっては生産性の向上につながったりと様々な可能性があります。しかし、コミュニケーション手段がチャット中心となるリモートワークでは、こうした可能性が消滅してしまいかねません。
そこでこの記事では、雑談の効果や、リモートワークで雑談が失われてしまう理由について触れた上で、リモートワークでも雑談を発生させるためのポイントについてご紹介していきたいと思います。
雑談の効果
実は、雑談には生産性を向上させるという効果があります。
ビッグデータの研究者である日立製作所の矢野和男さんのレポートによれば、コールセンターの休憩時間中にパートの社員同士の雑談が弾んだ場合、センター全体の幸福度が上昇し、受注率が30%以上向上したそうです。
ここで重要なのは、雑談が、雑談をした社員だけでなくコールセンター全体に好影響を及ぼしている点です。雑談は集団的な現象であり、チーム全体の生産性に影響している、といえるのではないでしょうか。
<参考:日立評論2015年6・7月合併号:ウエアラブル技術による幸福感の計測>
また、雑談には相談をしやすくなるという利点もあります。
雑談は、会話におけるクッションのような役割を果たしています。例えばいきなり「相談があります」と持ちかけられると、その内容が些細なものであっても、マネージャーも部下も身構えてしまうのではないでしょうか。
会話の冒頭を雑談から開始し、しだいに相談に移行することによって、お互いに心理的負担の少ない形で相談を行うことができます。
なぜリモートワークで雑談が失われてしまうのか
ここまで雑談の効能についてご紹介してきましたが、それではなぜリモートワークで雑談は失われてしまうのでしょうか。それは、会話のきっかけが消滅してしまうからです。
例えば、オフィスワークで隣の人が毎日同じお菓子を食べているとしましょう。すると、「〇〇さん、いつも同じお菓子食べてるね。」といった形で話しかけることができます。
また、自販機の前で社員と出会った場合、特に話す話題がなくても、多くの方は「お疲れ様です」と挨拶をするでしょう。その挨拶をきっかけとして、雑談が始まることもあるかもしれません。
しかし、リモートワークにおいてはこうした会話のきっかけが消滅します。リモートワークでは基本的に、相手の状況を目や耳で把握することができません。隣に社員が座っているわけでもないので、「ちょっと話しかける」といった行為そのものが失われてしまうのです。
この「ちょっと話しかける」という行為には、実はチームを活性化させるための様々な可能性が含まれています。例えば話が弾んで仲良くなり、一緒にランチを食べに行くようになるかもしれません。また、ふとした会話から業務に関する新たなアイデアが生まれることもあるでしょう。こうした可能性が、リモートワークでは減ってしまいます。
リモートワークでも雑談を発生させるためのポイント
それでは、リモートワークでも雑談を発生させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
先ほどご紹介したように、リモートワークでは雑談のきっかけ自体が消滅してしまいます。ですから、リモートワークでは基本的に、雑談のきっかけを意図的に作っていく必要があります。ここでは、リモートワークで雑談を発生させるためのポイントを、いくつかご紹介していきます。
①チャットツールで、雑談専用のチャンネルを作る
まず有効なのが、それぞれの職場で活用しているチャットツールで、雑談専用のチャンネルを作ることです。
最も望ましいのは、通常の仕事用のチャンネルで雑談が自然と始まることですが、それはなかなか高度なチャレンジであり、不快感を覚える社員も存在するかもしれません。そのため、仕事用とは別に雑談専用のチャンネルを作ると良いでしょう。
また、「仕事の話以外をしてはいけない」と考えてしまっている社員の人もいると考えられます。そのため、経営層やマネージャーが、「雑談をしても良い」と明確なメッセージを発信することも重要です。ルールを明確にすることで、社員は安心して雑談を行うことができるようになります。
②スタンプを積極的に活用する
また、スタンプを積極的に活用するのも効果的です。
スタンプには場を和ませる効果があり、会話のクッションになる可能性があります。例えば、誰かがふざけて個性的なスタンプを投稿してきた場合、「なんなんですかそのスタンプは笑」とツッコミを入れることができます。そのツッコミ一つから雑談が始まるかもしれませんし、もしかしたら「個性的なスタンプを投稿する大会」に発展するかもしれません。
このように、スタンプは会話を誘発させる効果があるため、積極的に活用していくことをオススメします。
③雑談のできるイベントを開催する
リモートワークでは、放っておくと社内イベント自体が消滅してしまいます。そのため、雑談のできるイベントを開催するのも良いでしょう。
オススメなのは、オンライン飲み会です。やり方は簡単で、ビデオ会議ツールを活用し、画面の前でお酒を飲むだけです(もちろん、ソフトドリンクでも可能です)。
弊社でも月に一度開催していますが、これはこれで新たな飲み会の楽しみ方だなと感じています。リモートワーク中心だと、普段顔を合わせない人も多いでしょう。オンライン飲み会は、オフ会のような役割を果たし、積極的なコミュニケーションを生みだす可能性があります。
リモートワークは新しい働き方の一つであり、そこには大きな可能性が秘められています。新型コロナウイルス対策で、仕方なくリモートワークを導入した方もいらっしゃるかもしれませんが、このピンチを新たなチャンスと捉え、より良い組織運営の形を探っていきましょう!
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